小栗旬、菅田将暉らの進化したコンビネーション 実写映画『銀魂2』の“何でもあり”な魅力

実写版『銀魂2』は大人の鑑賞に耐える作品

 興行収入350億円突破という空前絶後の記録を打ち立てた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を首位から引きずり下ろしたのは、アニメ『銀魂 THE FINAL』だった。その実写版第2弾で、2018年に公開された『銀魂2 掟は破るためにこそある』が1月16日11時55分からテレビ東京で地上波初放送される。

 「ぎんこん」ではなく「ぎんたま」。連載当初タイトルを見て赤面していたのも今は昔、いつの間にか人気作品となった『銀魂』は、「ぎんたま」と入力するとちゃんと予測変換されるほどの知名度を持つ人気コンテンツとなった。『銀魂』について多くを語るのはいかにも野暮だが、実写版の魅力をひとことで言うなら「全部乗せ」の美味しさと言える。コメディに加えて、アクションや泣ける要素、随所にのぞく遊び心など、福田雄一監督のエンタメ気質が全開になっているからだ。

 原作やアニメをご覧になっていない方のために説明すると、『銀魂』は幕末の江戸を舞台にしたSF時代劇で、万事屋(何でも屋)の坂田銀時と仲間たちの活躍を描いている。新撰組や幕末の志士をモチーフにしたキャラクターが登場するほか、全編にわたってパロディやギャグ要素が散りばめられており、ある種のB級感も作品の売りになっている。

 『新解釈・三國志』が公開中の福田は、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)や『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で知られる「コメディの奇才」。実写版『銀魂』では、福田の手によって原作の面白さが何倍にも引き出された。よくボケ倒す作風と評されるが、脚本・演出を兼ねた福田の采配が、良い意味で設定のゆるい原作の世界観にはまっている。

 遊び心あふれる実写版を魅力的にしているのは、人気・実力を兼ね備えたキャスト。銀時役の小栗旬をはじめ、菅田将暉、長澤まさみ、吉沢亮など、主演級が顔をそろえた。また佐藤二朗、ムロツヨシを筆頭に、堤真一、柳楽優弥、戸塚純貴ら福田組の常連が脇を固めている。役者自身のアイデアと瞬発力を重視する福田組の現場は、それ自体が俳優養成所とも言え、神楽役の橋本環奈は本シリーズをきっかけにコメディエンヌとしての才能を開花させた。

 新旧福田組の俳優陣が織りなすドタバタコメディの中心にいるのが小栗だ。小栗演じる銀時のボケに新八(菅田将暉)がツッコミを入れたり、神楽がボケ返すのが基本形である。剣の腕はめっぽう強いが「ここぞ」という場面でしか抜かない銀時は、普段はボケキャラでほぼ言っていることがスベっているのだが、その温度感を小栗がよくつかんでいる。これがあるからこそ菅田の完璧すぎるツッコミや橋本の豪快なギャグが生きてくるわけで、『銀魂 2』では進化した3人のコンビネーションを目にすることができる。

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