『35歳の少女』娘たちへ「ごめんね」から「愛してる」 涙なしでは観られない鈴木保奈美の名演

『35歳の少女』多恵の死がもたらしたもの

 それはかつて、カセットテープに未来への希望を吹き込んだ多恵へのアンサーだ。来る日も来る日も時間の止まった娘と向き合い続けた25年間を肯定され、多恵はニコッと幸せな笑みを浮かべる。言葉はやがて「ごめんね」から「愛してる」へ。ゆっくりと消えてゆく言葉と心、命の灯。最期を演じた鈴木保奈美のか細くも、意志を伝えようとする眼差しの強さは、多恵という人物像をくっきりと浮かび上がらせていた。人はあっけなく死ぬとも言われるが、感動的なBGMもなく(そもそも『35歳の少女』にはシーンを演出する音楽がほぼないのが特徴でもある)、次のシーンでは火葬場の煙となる描き方はよりリアルな死を感じさせる。

 最終回となる第10話。「まだ自分のことちゃんとしてないから」と望美は結人(坂口健太郎)と向き合うことを躊躇っていた。少しづつ家族の仲が修復しつつある今村家、父・尚志(西岡德馬)の亡くなった広瀬家、愛美の就職と恋愛の行く末も気になるが、メインとなるのはやはり望美と結人の恋路だろう。絶望の淵から這い上がった望美は、ラストにもう一つの幸せを掴み取ることができるのか。

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■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『35歳の少女』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:柴咲コウ、坂口健太郎、橋本愛、田中哲司、富田靖子、竜星涼、鈴木保奈美、細田善彦、大友花恋
脚本:遊川和彦
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:大平太、諸田景子
演出:猪股隆一ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/shojo35/
公式Twitter:@shojo35

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