北村匠海が『とんかつDJアゲ太郎』『さくら』『アンダードッグ』で示した、演技者としての力量

北村匠海が『とんかつDJアゲ太郎』『さくら』『アンダードッグ』で示した、演技者としての力量

 そして、封切られたばかりの『アンダードッグ』。これは「前編」と「後編」から成る、骨太なボクシング映画である。線の細い北村が気鋭のボクサー役というのは意外な気もするし、そのうえ彼が演じているのは“負の過去”を背負う青年役だ。この青年は親に捨てられた過去を持ち、その反動からか悪事に手を染めていたという過去を持つ。しかしボクシングと出会ったことによって改心し、貪欲に高みを目指しているのだ。好戦的で、獣のような目つきが印象的。ここで、北村に対するイメージがガラリと変わった。

劇場版『アンダードッグ』【前編】【後編】(c)2020「アンダードッグ」製作委員会

 このような役柄は少し意外だが、しかし思い返してみれば『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)では、かなりの悪童を演じている。その後、素朴な少年(あるいは青年)役を演じる機会が多かったわけなのだ。似た役どころばかり演じてきた印象をどうしても抱いてしまうのだが、いずれもが、“北村にしか演じられないものだった”というふうにも換言できるだろう。しかしやはり、誰もが彼の新たな一面を見たかったはず。そんなタイミングでの、『アンダードッグ』である。本作での役を演じるにあたって、肉体改造などを行うのは役者として当然のことなのだろうが、それよりも大きな変化を感じるのは、彼の放つポジティブなオーラだ。そこには“生”への渇望が見て取れて、なんとも頼もしい。これは俳優・北村匠海への頼もしさとも繋がる。まだ23才。可能性は無限である。

 『とんかつDJアゲ太郎』が公開延期されたことで、『さくら』『アンダードッグ』と、作風も演じる役柄も異なる出演作が立て続けに公開となり、北村は演技者としてのポテンシャルを一挙に披露するかたちとなった。これまた延期となっているのだが、本来であればここに『東京リベンジャーズ』も加わるはずだったのだから恐ろしいくらいだ。彼は、おそらく多くの方が抱いているであろう“北村匠海像”とはまったく違うかたちでも作品を背負うことができるのだと、いま確実に証明している。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開・配信情報
劇場版『アンダードッグ』【前編】【後編】
ホワイトシネクイントほかにて公開中
配信版『アンダードッグ』
ABEMAプレミアムにて、2021年1月1日(金)~配信開始
出演:森山未來、北村匠海、勝地涼、瀧内公美、熊谷真実、水川あさみ、冨手麻妙、萩原みのり、風間杜夫、柄本明
監督:武正晴
原作・脚本:足立紳
音楽:海田庄吾
企画・プロデュース:東映ビデオ
制作プロダクション:スタジオブルー
配給:東映ビデオ
製作:ABEMA、東映ビデオ
(c)2020「アンダードッグ」製作委員会
公式サイト:underdog-movie.jp
公式Twitter:@Movie_UNDERDOG

『とんかつDJアゲ太郎』
全国公開中
出演:北村匠海、山本舞香、伊藤健太郎、加藤諒、浅香航大、栗原類、前原滉、池間夏海、片岡礼子、ブラザートム、伊勢谷友介、新田真剣佑(友情出演)
原作:『とんかつDJアゲ太郎』原案:イーピャオ/漫画:小山ゆうじろう(集英社ジャンプ・コミックス刊)
監督・脚本:二宮健
脚本協力:喜安浩平
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会
公式サイト:agaru-movie-tda.jp
公式Twitter:@tonkatsuDJmovie

『さくら』
全国公開中
出演:北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、小林由依(欅坂46)、水谷果穂、山谷花純、加藤雅也、趙珉和、寺島しのぶ、永瀬正敏ほか
原作:西加奈子
監督:矢崎仁司
主題歌:東京事変「青のID」(EMI Records / ユニバーサル ミュージック)
製作:『さくら』製作委員会
配給:松竹メディア事業部
(c)西加奈子/小学館 (c)2020 「さくら」製作委員会
公式サイト:sakura-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/sakuramovie

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