アニメ『ヒプノシスマイク』からハマること間違いなし! 無数の入り口がある“ヒプマイ沼”

 そんな中、始まったTVアニメは初めてヒプマイを知る人にも親切な内容となっている。第1話は「言の葉党」の党首と側近がラップバトル開催にあたり、各ディビジョンの重要チームを監視カメラで調査するといった内容。

 視聴者は彼女たちと同じ視点で、メインとなる4つのチームの特徴を知ることができる。少し話はそれるが、前述の通りこの世界には武器というものは存在しない。だが強引な抑えつけが原因か、血の気の多い人間が溢れ治安も悪いのが特徴だ。使用者が特定されない違法マイクも世に出回り、イメージしづらいかもしれないが、強盗犯などは人質にナイフや銃ではなくマイクを向けている(悪人がヒプノシスマイクに順応している姿はちょっと笑えるが、ツッコミながら楽しめるのもヒプマイの愛嬌)。

 だからこそ、有名人である各ディビジョンの代表チームには次々と厄介ごとが降りかかるのだが、第2話からはメンバー同士が協力して困難を乗り越える姿が描かれた。きっと観ているうちに、何となく12人に及ぶキャラクター性も把握できたのではないだろうか。

Buster Bros!!!『RUN THIS CITY』(fromヒプアニ第2話)

 そして、第9話からついに1回目の決勝トーナメントに突入した。若干異なるが、2018年発売のCD「Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW」に収録されたドラマトラックの内容にあたる。メンバーに関わる様々な“過去”も要所に散りばめられ、初見の人をヒプマイの世界観に惹き込む仕掛けもばっちり。また、毎話新曲が登場するので、既知のファンにとっても楽しみがある。

 ラップバトルを繰り広げる場面はキャラクターが一部3D化され、まるでMVのような気合いの入れようだが、それもそのはず。ヒプマイは“音楽”原作のプロジェクトなので、楽曲作りにはかなりこだわっている。例えば、これまでZeebraやCreepy Nuts(R-指定・DJ松永)、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔など、名だたるアーティストが楽曲を提供。さらに、オリエンタルランドの藤森慎吾、『ドラえもん』ジャイアンの声優で知られ、本作ではBuster Bros!!!のリーダー・山田一郎役を務める木村昴も“好良瓶太郎”名義で作詞を手がけている。中毒性のある楽曲と、初挑戦とは思えない声優陣の本格的なラップにも注目だ。

 音楽やキャラクター、漫画やゲームなど、あらゆる入り口が準備されているヒプマイ。門をくぐると奥には無数の扉が広がっているため、いつの間にか出口も入り口も見えない“ヒプマイ沼”にハマっているかもしれない。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』
TOKYO MXほか、毎週金曜日24:00〜放送中
声の出演:木村昴、石谷春貴、天﨑滉平、浅沼晋太郎、駒田航、神尾晋一郎、白井悠介、斉藤壮馬、野津山幸宏、速水奨、木島隆一、伊東健人、小林ゆう、たかはし智秋ほか
原作・音楽制作:EVIL LINE RECORDS
監督:小野勝巳
シリーズ構成:吉田伸
キャラクターデザイン:芝美奈子
総作画監督:芝美奈子、落合瞳、竹内由香里
サブキャラクターデザイン:川口千里、新谷真昼
プロップデザイン:江間一隆
美術監督:岡本綾乃
色彩設計:ホカリカナコ
撮影監督:宮脇洋平
CG監督:野間裕介
編集:西村英一
音楽:R・O・N
音響監督:本山 哲
音響制作:HALF・H・P STUDIO
制作:A-1 Pictures

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