小川紗良が改めて感じた映画制作の楽しさ 「本当にかけがえのないもので愛おしいもの」
「映画館は“一対一”になれる場所」
ーー映研以外の出演者にも豪華キャストが名を連ねていますが、特に印象的だったのが斎藤工さんが演じる映研のOBです。映画の賞を獲ったことがある、でも……という少し胡散臭い感じも絶妙でした。
小川:映研に限らず部室にいつもやってくるOBの方っていますよね(笑)。斎藤さんと一緒に撮影する時間は短かったんですが、いろいろなお話をさせていただきました。私が映画を撮っていることも知ってくださっていて、映画業界全体のことをすごく考えていらっしゃったんです。今の状況を変えたいという意識を強くお持ちでした。短い時間でも斎藤さんと同じ映画の現場を経験できたことは大きかったです。
ーー「シネマラボ」第2弾の監督に斎藤工さんの名前も挙がってきそうです。
小川:現在、4人の監督が先陣を切って登場してくださいました。先輩方が糸口を開いて下さったので、これから野望を持っている若い監督に繋がっていけたら良いなと思います。それにあわせて、国内興行だけではなく、海外にも展開できるような作品が生まれていってほしいなと思います。
ーーコロナ禍によってエンタメ界は危機的状況になり、映画制作も思うようにいかない部分がありました。小川さん自身も改めて感じたことはありますか?
小川:自粛期間に世の中が必要なものと不必要なものに切り分けられてしまったように感じました。映画をはじめとしたエンタメもストップしてしまい、どちらかと言えば不要に仕分けされていたように思います。でも、コロナ禍が長期化していく中で、エンタメの力はやっぱり必要なんだなと強く感じました。自分自身もそうですし、作品を観てくださる方々の反応を見てもそれは感じるところです。制作の形は変化していくかと思いますが、絶やしてはいけないと思いましたし、絶えることはないと改めて感じました。
ーー一時は休館となっていた映画館もようやくかつての姿を取り戻しつつあります。本作も含めて映画館で映画を観る醍醐味はどんなところにあるでしょうか。
小川:私自身もそうですが、映画は映画館で上映することを前提に絵作りも音作りもほとんどの監督がしていると思います。なので、当たり前かもしれないのですが、映画を一番いい形で観ることができるのはやっぱり映画館なんですよね。自粛明けに映画館で映画を観たときも堪らないものがありました。映画館には複数の観客がいますが、映画館の暗闇を通して映画と自分自身が“一対一”になれる場所だと思うんです。スマホやテレビは届ける対象が複数で一対一ではないというか。映画館という場所は映画の特性を生かすためにもなくならないでほしいなと思いますし、『ビューティフルドリーマー』も映画館でぜひ観ていただけたらうれしいです。
■公開情報
『ビューティフルドリーマー』
全国順次公開中
監督:本広克行
出演:小川紗良、藤谷理子、神尾楓珠、内田倭史、ヒロシエリ、森田甘路、斎藤工、秋元才加、瀧川英次、升毅ほか
原案:押井守『夢みる人』
脚本:守口悠介
配給:エイベックス・ピクチャーズ
(c)2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会
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