山田涼介の“人情派”演技が田中圭の心を動かす 『キワドい2人』“異母兄弟”の謎が早くも明らかに
「捕まえる相手のことをもっとちゃんと知るべきなんです」と持論を展開する神崎(山田涼介)に対し、「市民全体を見なきゃいけない」と一蹴する黒木(田中圭)。このように職務の範疇を超えて他者に寄り添うべきかどうかという問いは、昨今、刑事ドラマに限らず“職業系”ドラマにおいて頻繁に見られるテーマだ(先日終了した田中圭出演の『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)もそうであった)。9月25日に放送された金曜ドラマ『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』(TBS系)第3話では、そのテーマによって突き動かされる神崎の“人情派”としての一面が、黒木の心を動かすエピソードとなった。
池袋署の管内で、老人を狙ったアポ電強盗が発生する。4人組の犯人グループがもう一度アポ電強盗を行なうと話していたという被害者の証言を手掛かりにして、捜査に乗り出した強行犯係。すぐさまグループの1人の身元を割り出すが、全員を一気に捕まえるために泳がしておくことを選択する。そして被害者の老人たちが全員同じ社交ダンスクラブに通っていたことを突き止め、そのクラブに潜入。そこで黒木は、事件の聞き込みの最中に訪れ、あたたかく迎えてくれた米屋のおばあさんがクラブの前会長であることを知るのである。
“アポ電強盗”という題材は、前クールに放送された日本テレビ系列の『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)の第8話でも描かれていた、まさに今日的な題材であろう。今回の劇中でも語られていたように、被害者と加害者の接点どころか犯行グループのメンバー間のつながりさえも希薄である場合が多く、捜査が難航しやすいという特性を持つ。現代社会を象徴しつつも、オールドファッションな刑事ドラマとしての拡がりも見せやすい題材でもあるのだろう。また犯人グループは、犯行の時だけ寄り集まり即座に解散する。今回の物語の核となる“一期一会”というテーマは、警官と犯人だけでなく、犯人グループにも掛かっているわけだ。
クライマックスで強行犯係総出となって犯人グループのうち3人を捕らえる。そして残る1人が米屋の孫息子である龍之介(清水尋也)だと知り、性善説に立つ神崎はその事実をうまく受け入れることができない。それでも、目の前で凶行に走ろうとする龍之介に力強い視線を送り、「あなたを捕まえるのだから、僕はあなたのことを知る義務がある」と持論のまま真っ直ぐに向き合おうとする神崎。情で動く神崎に、犯人もまた情を抱き、動かされる。「警察官の対応ひとつで、犯人の人生も大きく左右される」。劇中で何度も語られる『レ・ミゼラブル』のようなそのやり取りは、本作の“人情派”としての側面をしっかりと体現しているものといえよう。