杉咲花、『青くて痛くて脆い』の次はいよいよ朝ドラヒロイン! 『おちょやん』で“国民的女優”へ

杉咲花、『おちょやん』で“国民的女優”へ

 現在公開中の映画『青くて痛くて脆い』でヒロインを演じ、今秋から放送のNHK連続テレビ小説『おちょやん』も控えるなど、杉咲花の活躍が止まらない。朝ドラヒロインといえば、これまでも錚々たる面々が演じてきたドラマ史に残る重要な役柄だ。名実ともにいよいよ杉咲が国民的女優になろうとしていると言える。

 バラエティ番組に出演する杉咲は、愛嬌がある少女のイメージだが、女優としては、感情むき出しで、気持ちを爆発させるように訴える役柄が多い。先月行われた『青くて痛くて脆い』のオンラインプレミアム試写会でも、主演の吉沢亮が「こんな明るい役やってるの珍しくない?」と言うと、杉咲も「初めてかもしれない」と語っていた。

 一見おしとやかな雰囲気ながら、その中に熱い感情を秘める演技と、ささやくような静かな声は、朝ドラ女優である宮崎あおいや高畑充希と同じラインを感じるものがある。ただ、杉咲が女優を目指すきっかけとなった人物は、志田未来。もともと子役として活動をしていたが、志田に憧れ、志田を追いかけ同じ事務所の門をたたき、2011年に研音に所属、同年のドラマ『ドン★キホーテ』(日本テレビ系)から女優としての新たなスタートをきる。

 ドラマ『夜行観覧車』(TBS系)で、学校でイジメを受け、家庭内で母親に暴力をふるう中学生役を、2015年の映画『トイレのピエタ』でも、家庭の問題により常に心が孤独な少女役、杉咲が女優としてブレイクした映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では、学校でイジメにあう女子高生……と、思春期特有の心の苦しみを繊細に演じるのは、志田も『14才の母』(日本テレビ系)から得意としていたものでもあり、杉咲の演技のルーツが伝わってくる。

 そんな杉咲にも変化が訪れる。「仕事だけ楽しければいいやと想ってたけど、切り替えてもできるんだなっていうことに気づいた。私生活が楽しくなるにつれ、自身も明るくなってきたり、明るい役も増え、今はそっちの方が楽しい」と、2019年10月放送の『アナザースカイII』(日本テレビ系)で語っていた杉咲。実際に、2018年の『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)では、これまでの重いキャラを断ち切るように長髪を切り、元社長令嬢で急に貧乏になった役でも、明るく可愛らしい演技を見せていた。

 2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、母・シマ/娘・りくの一人二役に挑戦。女中からマラソン競技に目覚め、教師として女子スポーツの未来を見据え切磋琢磨するシマの芯の強さ、父親と周りの人たちから愛情いっぱいに育てられたことが感じられるりくの可愛らしさ、その違いを見事に演じ分けた。それに呼応するように役の幅も広がっており、昨年、ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)では、志田と念願の共演を果たす。そして、『青くて痛くて脆い』では、朝ドラ『なつぞら』でヒロイン・なつの永遠の同志とも言える“天陽くん”を演じた吉沢亮とタッグ。これは杉咲の女優人生の第1章の閉幕で、新たな時代に突入する区切りのようにも思わず感じてしまう。

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