杉咲花、『青くて痛くて脆い』の次はいよいよ朝ドラヒロイン! 『おちょやん』で“国民的女優”へ

杉咲花、『おちょやん』で“国民的女優”へ

 そんな新しい時代の幕開けとなるのは、やはり朝ドラ103作品目の『おちょやん』だ。本作で杉咲が演じる竹井千代は、女優の道にすべてを懸けるヒロイン。「大阪のお母さん」として親しまれてきた女優・浪花千栄子の人生がモデルとなっている。千代は、喜劇界のプリンスと結婚、昭和の激動の時代に、大家族のような劇団生活を経て、自分らしい生き方と居場所を見つけていく。

 昭和の時代を生き抜いた歴史的人物の一代記は、朝ドラの王道。2000年代の朝ドラは、芸能界の登竜門のように新人女優を起用することはあまりなく、演技派女優として名の知れた女優や、『ごちそうさん』の高畑充希や『あまちゃん』の有村架純のように、脇役として朝ドラに出演し、その確かな演技で主役級の評判を得た女優が、後にヒロインに抜擢されるパターンが多い。逆にそれは、結果が求められるという意味でもある。杉咲もそうしたパターンに則り、2016年の『とと姉ちゃん』で、高畑充希演じる小橋常子の妹・美子を演じた。ちゃっかりでひょうきんものな性格ながら、口論シーンとなると高畑をも勝る啖呵をきり、主役を食う演技で存在感を見せ話題を呼んだ。それから4年、『いだてん』で万人の視聴者に愛されるキャラを演じ、ドラマ・映画を牽引する主役となった今、満を持しての今回の抜擢となる。

 大阪を舞台にし、かつモデルがいる作品で、関西の人に愛される女優を演じることは、その世代の思い入れとの戦いにもなりそうな予感だ。また、一代記ものということで、必然的に実年齢を超えた役を演じることになる。『いだてん』を観る限り、心配はいらないだろうが、杉崎が10代から40代と時を経て成長するキャラクターをどのように演じるか注目が高まる。

 脚本は、『半沢直樹』などTBS日曜劇場の池井戸潤原作ドラマや、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)などを手がけた八津弘幸。八津は「千代は、ご多分に漏れず苦難の人生を歩むわけですが、やがて昭和の喜劇界を支える名女優へと成長していきます。その背景には孤独や喪失といった重いテーマをはらんでいますが、そんなものは笑い飛ばす、千代の人生そのものが喜劇であり、この作品そのものが喜劇だと思っています」とコメントを寄せている。孤独や喪失を抱え込み、それを表では見せない明るい演技は、まさに杉咲のこれまでのキャリアが発揮できる役柄だ。千代は、道頓堀で芝居を見て女優に憧れ続け、女優の道へ飛び込む話だが、杉咲も志田未来に憧れ、本格的に女優の道へ飛び込んだ役者。女優として重なる部分もあり、女優を演じる杉咲がどんな喜劇役者ぶりで、視聴者を笑わせ、そして泣かせるのだろうか。期待して待ちたい。

■公開情報
『青くて痛くて脆い』
全国公開中
出演:吉沢亮、杉咲花、岡山天音、松本穂香、清水尋也、森七菜、茅島みずき、光石研、柄本佑
監督:狩山俊輔
脚本:杉原憲明
原作:住野よる『青くて痛くて脆い』(KADOKAWA)
制作プロダクション:ツインズジャパン
配給:東宝
製作幹事:日本テレビ放送網
(c)2020「青くて痛くて脆い」製作委員会
公式サイト:http://aokuteitakutemoroi-movie.jp/

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