日本を制す次の韓流スターは? 『愛の不時着』『梨泰院クラス』『サイコだけど大丈夫』から探る

2020年の新たな韓流スターは?

男が惚れる理想の男性像、『梨泰院クラス』のパク・ソジュン

 『愛の不時着』と共に今なお日本でアツい人気を博しているのが『梨泰院クラス』だろう。日本の有名人もこぞってハマり、『梨泰院クラス』オフ会なるものがネットで生配信されるほどの熱狂ぶりだ。

 主演を務めたのは、これまで数々のドラマを大ヒットに導き、“大ヒット保証俳優”などと呼ばれてきたパク・ソジュン。『梨泰院クラス』での不条理な世の中に押しつぶされない、真っ直ぐな信念を持ったパク・セロイは、人々の胸を打っている。セロイの名言集やいがぐり頭の独特なヘアスタイルが流行するなど、社会現象も起こしている人気ぶりだ。

 パク・ソジュン演じるセロイが愛されたのは、損得を抜きにして自分の大望に向かって突き進んでいく、一本筋の通った男の中の男という人柄からだろう。その姿には、女性のみならず男性でも惚れ、セロイはまさに混沌とした世の中に現れた真のヒーロー。従業員たちから信頼される姿からは、理想の上司像としても映る。

 パク・ソジュンは世の女性の胸キュンを誘う“メロ職人”であると同時に、“ブロマンス職人”などと言われ、男性俳優たちとのケミストリーも高く評されている。そのブロマンス技と男気溢れる兄貴キャラはドラマの中だけに留まらず、プライベートにも及ぶのがまた彼が愛される理由。パク・ソジュンを中心に『パラサイト 半地下の家族』のチェ・ウシク、『花郎』で共演したZE:Aのパク・ヒョンシク、そしてBTSのV、シンガーソングライターのPeakboyの5人は「ウガウガ会」や「ウガファミリー」などと呼ばれ、仲良く旅行に行ったり、食事に行ったりする仲間である。パク・ソジュンの親しみやすく飾らないそのキャラクターは、芸能界においても兄貴的存在として愛されているようだ。

 男女問わず愛される新たな人物像を示し、韓国ドラマに若者を引っ張り込んだパク・ソジュンの時代はまだまだ続きそう。

傷を抱えた守ってあげたい男、『サイコだけど大丈夫』キム・スヒョン

 『愛の不時着』、『梨泰院クラス』に続き、NetflixTOP10に名を連ね、韓国ドラマブームに新たに名乗りを上げているのが『サイコだけど大丈夫』である。

 主演を務めているのは、圧倒的存在感を放つキム・スヒョン。『太陽を抱く月』では悲運の王を熱演し、最高視聴率46.1%の大ヒットを記録。『星から来たあなた』では、“冷静沈着な宇宙人”を演じ、切ない瞳でアジア中を虜にした。

 彼の除隊後初の本格復帰作である『サイコだけど大丈夫』は、キム・スヒョンの繊細な演技力が物語の軸を支えている。本作で演じているのは、自閉スペクトラム症の兄のために自分の意思を後回しにし、その人生の重さから愛を信じられなくなっている主人公のムン・ガンテ。兄を守るという使命感を背負い、母の兄に対する愛情の偏りから、その使命感や責任感が空虚な傷へと変わり、ガンテは感情をあまり表に出せない。

 透き通った彼の瞳は、どこかとてつもなく切なく、寂しげである。これはもう天性のものだろう。愛されない傷を抱えた男は、どこかセクシーで母性本能をくすぐる。童話の世界観と圧倒的映像美で一見すると派手に思える本作だが、訴えているのは実に普遍的なメッセージである。“あなたはあなた、そのままで大丈夫”。秀逸な脚本と卓越した俳優の演技力でそのメッセージがじわじわと心に響いてくる。

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