第67回ベルリン映画祭観客賞受賞作『シリアにて』予告編公開 死と隣り合わせの日常が
8月22日より岩波ホールにてロードショーされる映画『シリアにて』の予告編が公開された。
本作は、戦地シリアを舞台に自らの住むアパートの一室をシェルターにし、身を寄せる家族と隣人一家の緊迫の24時間を描いた密室劇。3児の母であるオームは、自らが住むアパートの一室をシェルターにして、家族と隣人ハリマの一家を市街戦の脅威から守っている。一歩外に出ればスナイパーに狙われ、爆撃が建物を振動させ、さらに強盗が押し入ろうとする。果たしていつまで持ちこたえられるだろうか。
本作は、現在進行形のシリアの悲劇を世界に伝える役割を果たし、第67回ベルリン国際映画祭で観客賞を受賞。その後も数々の映画祭を席巻し18冠を獲得した。監督・脚本を務めたのは、ベルギーの社会派監督フィリップ・ヴァン・レウ。ルワンダ紛争での大量虐殺を描いたデビュー作『The Day God Walked Away(英題)』に続く長編映画となる。
主演を務めたのは、イスラエル生まれのパレスチナ人として知られ、『シリアの花嫁』『ガザの美容室』 などの多数のイスラエル、パレスチナにまつわる映画に出演しつつ、『ミュンヘン』『ブレードランナー 2049』などのハリウッド映画まで世界的に活躍しているヒアム・アッバス。隣人ハリマ役を、『判決、ふたつの希望』のディアマンド・アブ・アブードが演じた。
公開された予告編では、戦地に赴いた夫の留守を預かるオームが、家族と共にアパートの一室にこもり、そこに身を寄せた隣人で、幼子を持つハリマ夫婦とともに、生活を続けているさまが切り取られている。
また、ジャーナリストの綿井健陽からコメントも寄せられた。
綿井健陽(映像ジャーナリスト/映画監督)コメント
『シリアにて』で聞こえる音の恐怖の“感染”は、際限が無い。銃声や爆音だけではなく、扉を叩くわずかなノックの音、空爆の着弾音、救急車のサイレン、怒鳴り声、嗚咽……。この緊迫のステイホームで繰り広げられる光景は、コロナ禍前から10年近く続く、世界が救えなかった実在のシリア人たちの閉ざされた部屋のように見える。
■公開情報
『シリアにて』
8月22日(土)より、岩波ホールにてロードショー
監督・脚本:フィリップ・ヴァン・レウ
撮影:ヴィルジニー・スルデー
編集:グラディス・ジュジュ
音楽:ジャン=リュック・ファシャン
出演:ヒアム・アッバス、ディアマンド・アブ・アブード、ジョリエット・ナウィス、モーセン・アッバス、モスタファ・アルカール、アリッサル・カガデュ、ニナル・ハラビ、ムハマッド・ジハド・セレイク
配給:ブロードウェイ
2017年/ベルギー・フランス・レバノン/86分/カラー/アラビア語/DCP
原題:Insyriated/英題:In Syria
(c)Altitude100-Liaison Cinematographique - Minds Meet – Ne a Beyrouth Films
公式サイト:https://in-syria.net-broadway.com