『ONE PIECE』『NARUTO』『約ネバ』など 日本の漫画やアニメがハリウッドで実写化される背景

 先日、6月15日に『週刊少年ジャンプ』の連載を終了した原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかによる大ヒット漫画『約束のネバーランド』が、Fox 21により英語版で実写TVドラマ化されることが決定した。

『約束のネバーランド』19巻

 そしてここ数年、そんな日本のコンテンツがハリウッドで実写化される企画が、10年前に比べ圧倒的に増えた。その背景にはどんな理由があるのか? 今回は、特に日本の漫画やアニメをもとにハリウッドで企画されている映画と、企画倒れになった作品を通して、その理由を検証してきたい。

 もっとも、ここ日本映画自体が漫画やアニメの実写化の傾向が多く、2018年には漫画を原作とした日本映画が、ほぼ毎週のように公開されていたほどだ。なぜ、これほどまで増えたかと言うと、ここ10年間で漫画からの映像化が難しいと言われてきたハードルが、映像の技術的な面での躍進を経て、難なく乗り越えられたのが一つの大きな要因としてあるようだ。

 つまり、映像的にも原作の漫画に劣らぬ技術を高めてきたということだ。ハリウッドの大作を多く手がけるニュージーランドでピーター・ジャクソン監督が率いるVFXの制作会社、WETA Digitalでは、10年前は1年に2、3本のハリウッド作品に関わっていたものの、現在はその3、4倍の作品に毎年関わっていて、アメコミ作品の中でも、『X-MEN』シリーズ、『アベンジャーズ』シリーズ、『アイアンマン』、『デッドプール』などを手掛けてきた。さらに、ジョージ・ルーカス監督のVFX制作会社、インダストリアル・ライト&マジックは、カリフォルニア州のサンフランシスコの本社だけでなく、シンガポール、カナダのバンクーバー、イギリスのロンドンにも支社を置き、世界的な展開を果たしていて、日本の漫画のキャラクターも登場した『レディ・プレイヤー1』、『ドクター・ストレンジ』、『キャプテン・マーベル』などのアメコミ作品に携わった。

 一方日本では、映画『キングダム』、『BLEACH』を手掛けたVFX制作会社・白組、『宇宙兄弟』、『るろうに剣心』を手掛けたオムニバス・ジャパン、『鋼の錬金術師』、『アルキメデスの大戦』を手掛けたピクチャーエレメントなどが台頭してきた。要するに、多くのスタジオが、これらのVFX制作会社に技術的な信頼を置くようになった。

 次に大きな原因となるのは、オンライン動画配信サービスのNetflix、Hulu、Amazonプライム・ビデオの成功だ。そして、これらに昨年から加わったDisney+、そして新たにHBO Max、Quibiなどが名乗りをあげた。これらのオンライン動画配信サービス会社を通して、何巻にも渡る漫画を2時間の映画で無理に描くのではなく、時間をかけて原作に忠実にTVシリーズとしても描けることから、漫画の著作権を保有する原作者や日本の会社から実写化への許可が降りやすくなったこともあるだろう。

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