『魔進戦隊キラメイジャー』文科系レッドはどのように誕生した? プロデューサーに聞く

『キラメイジャー』Pが語るその魅力

 「宝石」と「乗り物」をモチーフとし、「キラメこうぜ!!」のキャッチコピーを掲げる、スーパー戦隊シリーズ第44作目の『魔進戦隊キラメイジャー』(毎週日曜午前9時30分~/テレビ朝日系)。明るく楽しい王道の作風ながら、レッドが極端な文科系だったり、故障時の修理方法が宝石らしく「研磨」だったり、敵ロボを抑え込んで無理やり合体したりと、なかなかどうして攻めている。

 新型コロナウイルス感染症の影響で新規の撮影が行えない中、新たな切り口での挑戦も続く本作について、プロデューサーの井上千尋氏と塚田英明氏にインタビュー。これまでの振り返りを含めて存分に語ってもらった。

劇場版のTV放送は「大サービス」

――エピソード10まで放送された翌週に、劇場版の『エピソードZERO』が放送されました。これまでは、前の戦隊の映画に顔見せ的に新戦隊がちょっと出演するパターンが主流で、そもそもTVシリーズ放送開始前に劇場版が公開されるのは、初めての試みでしたよね。

塚田英明(以下、塚田):『劇場版 騎士竜戦隊リュソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』をやることになり、新戦隊も何らかのかたちで関わり、プリキュアさんにもご参加いただいて、「戦隊祭り」みたいなものをやろうということになったんです。それで、どうせなら複数の作品があるほうが良いだろうと、単体の作品になりました。

――こういう状況にならなかったら、劇場版のTV放送は当分なかったわけですよね。10話後のエピソードZEROは、視聴者的にはベストタイミングの印象でした。

塚田:TTFC(東映特撮ファンクラブ)での配信のほか、6月24日にはパッケージ化され、劇場で見逃した方はそうしたタイミングで観られる予定だったんですが、テレビでみんなが無料で観られる予定はありませんでした。このタイミングで放送したのは、いろいろあっての大サービスです(笑)。初めて観た方も多く、喜んでいただけましたね。それに、劇場で初めて観るのと、TVシリーズを観てからとでは、見心地が違うんです。劇場で観るときには「今回の戦隊はこういう人たちなのね」という認識になるでしょうが、10話まで観た後では、それぞれのキャラも把握できているから「最初はこうだったんだ」という観方になるので。

――私も後者の観方でした(笑)。ちなみにここまでの反響はいかがですか?

井上千尋(以下、井上):おかげさまでとてもいい反響をいただいております。お子さんから大人まで幅広い年代の方から感想の声をいただいています。それぞれの多様性を認め合い、5人が助け合う姿が心地よくとらえられたのだとおもいます。本来の自分らしさを失わないことこそ最高のキラメキを手にできる。第2話で提示されたテーマがキラメイジャーの方向性を決定づけ、この点が視聴者の皆さんにも受け入れられたのだと思います。自分を押し殺してシャカリキになっても本物のキラメキは手に入れられない。シンプルですが、とても大事なメッセージです。

ーーところで、モチーフに「宝石」と「乗り物」を選んだのは、そもそもなぜだったんでしょうか?

塚田:子どもたちが好きなものといえば、動物か乗りものに大別されるなか、今回はまず「乗り物でいきたい」と。それで、なるべくシンプルにまとめられ、物語のモチーフにもなりえて、世界観をあらわすルック的にもモチーフになりうるものとして、乗り物の変形をどうするか、と。そこから、乗りものをクリアパーツでキラキラしたものにすると、派手で良いなということになり、お話的にも「キラキラ」とか「輝き」は、この時代に明るく楽しく見られるモチーフとして良いんじゃないか。では、もう一つのモチーフに宝石はどうだろう、と。

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