『魔進戦隊キラメイジャー』文科系レッドはどのように誕生した? プロデューサーに聞く

『キラメイジャー』Pが語るその魅力

『魔進戦隊キラメイジャー』は塚田プロデューサーの集大成

――ところで、今回のメガホンを取る山口恭平監督は、仮面ライダー作品をたくさん作ってきた方で、戦隊は初めてですよね。

塚田:彼は、僕が桐山漣くんと菅田将暉くんW主演の『仮面ライダーW』をやっていたとき、総集編的な作品で監督としてデビューしてもらった人で。ライダーのキャリアがあるにもかかわらず、戦隊のほうは関わっていなかったので、僕が久しぶりに戦隊をプロデュースすることになったとき、フレッシュな感覚や良いセンス、新味を持ち込んでくれたらという思いでお願いしました。

――新鮮というと、5月24日放送分では、エピソード1・2の未公開カットが披露されましたね。未公開カットを観られる機会はなかなかないので、刺激的でした。

井上:どの戦隊もそうですが、1~2話はパイロット版なので、制作日数も余裕を持って、年間通して使う分の映像も含め、たくさん撮るんですよ。だから、1~2話では「これ、カットするのはもったいないよね」というものがたくさんあって、なかでもキラメイジャーは泣く泣くカットしたところが多いんです。それを披露する良い機会でした。ちなみに、5月31日と6月7日放送分では、新規の撮影ができなくなっている状況下で、手を変え品を変え、新しいモノをご提供できるよう工夫している最中です。今後は5月31日、6月7日と2週にわたって魔進の声優さんに新たに録り下ろししていただいた新しい企画『キラトーーク!』を準備しております。

塚田:格納庫に宝石たちが並んでいる状態がひな壇芸人のように見えること、達者な声優さんたちがキラメイジャーを語ったら面白いんじゃないかという発想から、同じテレ朝さんの『アメトーーク!』みたいなものをキラメイジャーでやったらとご提案したら、井上さんが本家にかけ合ってくれて許可が出て。ちょっと面白いものになっていますよ(笑)。

井上:今は編集とアフレコしかできないので、それらを駆使してあたかも新作のように楽しめるものになっています。伝統的にスーパー戦隊は総集編を得意としてきました。たとえば、偽物のヒーローをあぶりだすため、過去のバトルについてのクイズを出して、記憶が正しいか検証しながら総集編やるとか。プラスオンの工夫が素晴らしい! これまで培ってきた経験がいま生かされています。新規撮影できないと、編集とアフレコしか武器がない。でもめげません。新作再開までバラエティ豊かな放送をお届けできるようがんばりますので、お楽しみください!

――キラメイジャーならではの魅力とは?

塚田:ステレオタイプじゃない価値観や意外性を見せつつも、30分間、パッと見てわかる1話完結で、毎回「あっという間に終わった」という見心地を心掛けていることです。

井上:日本で1年間のオリジナル企画の連続ドラマを放送しているのは、特撮番組と大河ドラマだけ。とても稀有な枠です。東映さんが手がける特撮番組はシリーズ構成の役目をメインシナリオライターとともに東映さんのチーフプロデューサーも担っており、他には類をみない作品づくりの仕方をしています。『魔進戦隊キラメイジャー』は塚田プロデューサーがチーフを務めていらっしゃいますが、そばからみていてもこれまでの「集大成をつくるぞ!」との意気込みでクリエイティブをやってらっしゃるのが伝わってきます。作品を貫くテーマはもちろんのこと、これまで担当された『マジレンジャー』や『ゲキレンジャー』のオマージュが目に見える形で映像にあらわれているところもあり、塚田作品のパーツを探してみるもの一興かもしれません。

■放送情報
『魔進戦隊キラメイジャー』
テレビ朝日系にて、毎週日曜9:30〜放送(一部地域を除く)
出演:小宮璃央、木原瑠生、新條由芽、水石亜飛夢、工藤美桜、古坂大魔王、鈴村健一、岩田光央、赤羽根健治、大河元気、長久友紀、水瀬いのり、中村悠一、高戸靖広、杉田智和ほか
プロデューサー:井上千尋、島川博篤(テレビ朝日)/塚田英明、望月卓(東映)/矢田晃一、深田明宏(東映エージェンシー)
原作:八手三郎
脚本:荒川稔久
音楽:松本淳一
監督:山口恭平ほか
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田洋(特撮研究所)
制作:テレビ朝日/東映/東映エージエンシー
(c)2020 テレビ朝日・東映AG・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/kiramager/

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