『警視庁・捜査一課長』『キラメイジャー』『M 愛すべき人がいて』にみる、テレビ朝日の狙いと戦略
そして、いわゆるドラマとは一線を画する特撮枠、スーパー戦隊シリーズ第44作目の『魔進戦隊キラメイジャー』も攻めている。
テレビに先駆けて映画を公開したことも史上初の試みだが、斬新なのは「宝石+乗り物」という意欲的な(強欲な?)Wモチーフ。
戦隊のモチーフといえば、これまで動物や自動車、恐竜、忍者、救急、警察、魔法、海賊、スパイなど様々なものがあり、さらに合わせ技としては動物+忍者、拳法、輸送用機械、星座など、「動物+α」も定番となる中、近年では「恐竜×騎士」「怪盗×警察」のような王道の合わせ技も登場していた。
しかし、今作の主人公たちは、不思議なパワーを秘めた赤、黄、緑、青、桃色の宝石「キラメイストーン」にタッグを組むのにふさわしいとして選ばれた戦士たちで、巨大な乗り物「魔進(マシン)」に変形する。要素が多く、設定が複雑だ。よく知らずに観ていると、キラキラ光る箱を持った怪人(?)のようなものが登場し、「ドライブ」と称して箱の中に戦士が入ってしまったり、乗り物に変身したりという謎の展開に混乱しそうだが、この要素の多さには並々ならぬ貪欲さ・気合を感じずにはいられない。
おまけに、主役であるレッドは「文科系」。近年はいわゆる熱血系じゃないレッドも増えていたが、それにしても今回のレッドは見事なまでの開き直りぶりを見せる。
4月26日放送回ではなんと「文科系の体力のなさ、甘く見ないでほしい」「誰だって自分の時間が必要なんだ」などといった文科系の香り漂うセリフが登場。体育会系の4人を文科系が得意分野の絵でやり込める展開が描かれ、文科系視聴者たちの共感を呼んだ。
リーダーシップある熱血正義感がみんなを引っ張っていくのではなく、周りを和ませる力を持つレッド像は新しく、今の時代の空気とよく馴染むのだ。