『エール』“マルチ子役”新津ちせが見せる演技に注目 成長した姿演じる森七菜への意識も?

『エール』“マルチ子役”新津ちせに要注目

 しかも、この梅。今後成長した姿を演じるのは新津の父・新海誠が昨年手がけた『天気の子』でヒロインの声を務めた森七菜だというのだから興味は尽きない。そうした運命的な繋がりもさることながら、森といえばこれまで、『ラストレター』では松たか子の、『最初の晩餐』では戸田恵梨香の少女期を演じてきた逸材中の逸材だ。その幼少期を演じるとなれば、新津の演技ポテンシャルが大きく試されることは間違いないだろう。

 少なくとも第7話でのわずかな登場シーンを観た印象では、新津は森の演技の特徴をしっかりと意識しながら演じているように思える。ほわっとした独特の空気感を放ちながらも時折芯の強い視線を放ち、モーションの大きさが醍醐味である森の演技の特徴を、まずこの関内梅という役柄に、新津が可能な限り落とし込もうとしている。とりわけ朝ドラにおいては幼少期の役者と成長後の役者の演技とが綺麗にリンクした時に、そのキャラクターの魅力が高まるだけに、この序盤で新津が見せる演技と、森がそれをどのように引き継ぐのか。この2点にフォーカスしながら、まだ始まったばかりの本作を追いかけていきたい。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
NHK総合にて、3月30日(月)より放送開始
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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