桜庭ななみ、“叔母さん”としての強引な優しさ 『スカーレット』最終週に希望が灯ることを祈って
喜美子、直子、武志の3人になった母屋。直子は、白血病を治す抗がん剤の副作用、髪が抜ける症状を武志にサラッと尋ねる。その流れから会話は真奈の話に。直子の中ではすでに“武志の彼女”という認識らしく、直子の運転による「愛を語り合うためのドライブ」を企てている。しつこい直子の存在に武志はたまらず「来るな! うるさい!」と寝室に逃げ込んでいく。真奈の気持ちに気付きながらも、彼女の思いを受け止めることができない武志。八郎がそうであったように、恋愛には男らしい、大胆さも必要であり、その強引さを直子が引き出していく……のか?
『スカーレット』も残り6回。最終週「炎は消えない」では、武志と真奈が仲良く歩く場面に、「愛語りあうんやで!」とご満悦な直子の声。ちや子(水野美紀)、草間(佐藤隆太)、さらにはジョージ富士川(西川貴教)まで登場し、フィナーレに相応しい顔ぶれが揃う。
印象的なのは、琵琶湖を前にした喜美子、武志、真奈の姿。『スカーレット』で琵琶湖が出てきたのは、第1週「はじめまして信楽」第1回。生前の常治(北村一輝)が日本一の湖である琵琶湖を前に、「よう見とけ。こっちの心も大きなんでぇ」とまだ幼かった喜美子と直子に伝えていたシーンだ。予告でも喜美子は常時の言葉を受け継ぐように、「よう見とけ。こっちの心も大きなるで」と武志と真奈に呼びかけている。死ではなく、生きることをテーマにした『スカーレット』は、私たちの心にも希望に満ちた炎を灯してくれるはずだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
2019年9月30日(月)〜2020年3月28日(土)放送予定(全150回)
出演:戸田恵梨香、富田靖子、大島優子、林遣都、松下洸平、黒島結菜、伊藤健太郎、福田麻由子、マギー、財前直見ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/