“考察班”生み出す『シロクロ』『あな番』『3年A組』 日テレ日曜ドラマ枠はSNS時代を攻略!?
『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』『あなたの番です』『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』……これらのドラマは、放送回ごとに、SNS上での“考察”が盛り上がりを見せていた日本テレビの日曜ドラマである。
日本テレビの日曜ドラマは、SNS時代を生きる視聴者をうまく捉えている。これまでのテレビ番組を評価していたのは「視聴率」だった。しかし、ソーシャルメディアやオンデマンド配信の普及により、SNSに投稿しながら鑑賞する「ソーシャル視聴」や「録画視聴」の影響が大きくなり、リアルタイムの視聴率だけではドラマの人気を測れなくなりつつある。「日テレ日曜22時半枠」はそんなSNS時代の今を汲んでいるのだ。
『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』
菅田将暉演じる高校教師・柊一颯が、卒業10日前に生徒たちを監禁するサスペンス・学園ドラマ。本作は、「SNSとの関わり方」がテーマに盛り込まれていた。脚本の武藤将吾は「セリフで語らない」という脚本のセオリーをあえて破り、ストレートな台詞で若年層に訴えかけた。この方法は功を奏し、SNSへの関心が高い世代の心を捉えたようだ。
柊一颯の真の目的が明らかになっていく展開に、作中に盛り込まれた“伏線探し”をする投稿や、SNSは一連の黒幕や次の展開への“考察”で盛り上がっていた。そして本作終了後には、「ネット上で発した言葉は時に凶器になる」というメッセージに「観ててすごく大切な授業だった」「悪口などを呟かないことを誓う」などのつぶやきが多数目に留まった。
『あなたの番です』『あなたの番です-反撃編-』
マンションに引っ越してきた年の差婚の新婚夫婦、手塚菜奈(原田知世)と手塚翔太(田中圭)が、住民会で行われた「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる姿を描いたミステリードラマ。第1章では、キャッチコピー「毎週、死にます。」が示す通り、毎週ドラマ内の登場人物が殺害され、第1章最終回に主人公の一人・菜奈が殺された。その衝撃的な展開はSNS上で話題となり、放送終了後、Twitterに「菜奈」というワードがトレンド入りしていた。
複雑な人間関係やクセの強いキャラクター、新たなキャラクターの登場などは視聴者の“考察”欲をくすぐった。何気ないシーンにも意味があるように感じさせる構成や急展開に、視聴者同士の“考察”や「深読み」が加わることで、元来の謎解き要素がより重厚なものになっていた。