重岡大毅が体現する歪んだ感情のリアリティ 『知らなくていいコト』が突きつける様々な人間の顔

重岡大毅が体現する歪んだ感情のリアリティ

 同じくケイトの元カレの尾高(柄本佑)はかつて、ケイトの親について知ってから別れた野中に「最低だな」と言い放ったことがあった。今後の放送で新事実が明らかになるかもしれないので断言はできないが、もし本当に乃十阿が殺人犯であったとしても、ケイト自身に法的に何かの罪があるわけではない。子は親を選ぶことができない。だからこそ、その時ショックを一番大きく受けたのはケイト自身であったはずだ。将来の子どもの気持ちを考えること自体を罪だとは言わない。ただそれでも、当時のケイトに対する向き合い方は他にもあったはずであり、尾高に「最低だな」と言われても致し方のないことであろう。

 たしかに、野中は暗さを抱えた人間である。でもそれは彼が持つ数ある「顔」の一つを見ているに過ぎない。プライベートではガールフレンドとご飯を食べ、村上春樹の小説を読み、学生時代には将棋部に所属していたという、ごくごく“一般的な顔”をもつ人間でもある。だからこそ、野中の姿が、本作で描かれる意味があるように思われる。野中春樹という一人の人間が抱える歪んだ感情には、人間のある種のリアリティがある。

■放送情報
水曜ドラマ『知らなくていいコト』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、重岡大毅(ジャニーズWEST)、秋吉久美子、佐々木蔵之介、小林薫、本多力、小林きな子、和田聰宏、山内圭哉、関水渚、森田甘路、今井隆文ほか
脚本:大石静
演出:狩山俊輔、塚本連平ほか
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:小田玲奈、久保田充、大塚英治(ケイファクトリー)
(c)日本テレビ

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