『トップナイフ』永山絢斗が対面する母親と過去 「才能の壁」をどう乗り越える?

『トップナイフ』永山絢斗の過去とは

 第4話のメインテーマは「記憶」だった。30年前から記憶が3分ともたなくなった患者・内田(綾田俊樹)とその幼なじみの山口(本田博太郎)が紡ぐ記憶にまつわるストーリーは、“心に宿る”感情の記憶を呼び起こしてくれる。海馬ではなく、扁桃体に留まるという、感情の記憶。なぜだか隣にいると安心感があり、りんごを食べるとすぐに思い出されるようなあの日の幸福な記憶について。人は無意識に記憶をねじ曲げてしまったり、複雑な感情を単純化しようとしてしまう。だから、西郡と母親、あるいは深山とその娘の過去は、「辛く悲しいもの」としてメモリーされてしまう。しかしその間にも楽しいこと、愛らしいことがあったのは事実で、その過去は消えることはないということ。深山と娘から漏れ出る笑顔にこそ、その複雑な感情の混じり合いを感じ取ることができるだろう。脳も記憶も絶えず変化するけれど、どの過去も消えて無くなることはない。だからたびたび、忘れかけていた幸福な記憶が今を助けてくれることがある。

 また、そうした過去と記憶にまつわるストーリーに加え、サブストーリーとして「現在を生きる」幸子(広瀬アリス)の恋愛物語が進行しているのも本作のおもしろい点だ。彼女の想いは果たして成就するのだろうか。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇などのカルチャーをむさぼり食らう日々。
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■放送情報
『トップナイフ ー天才脳外科医の条件ー』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:天海祐希、椎名桔平、広瀬アリス、永山絢斗、古川雄大、宮本茉由、三浦友和
原作:林宏司『トップナイフ』(河出文庫)
脚本:林宏司
音楽:横山克、鈴木真人
演出:大塚恭司
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:鈴木亜希乃、茂山佳則
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ

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