片寄涼太と松本穂香に響いた伊藤英明の熱さ 『念唱』が問いかける、“救う”の意味

『念唱』が問いかける、“救う”の意味

 「この手は人を助けるための手なんだ」。この言葉は、松本の医師としての在り方そのものを体現している。そのポリシーは、田中のようなクールな医師にも、児嶋のような一歩が踏み出せない医師にも強く響いた。第4話では田中の抱えたバックボーンが明かされ、松本と対立する理由がはっきりする。片寄は、生意気でクールだが、影では素直で努力家な一面を持つ田中を器用に演じる。2面性のある役ながらも、どちらも愛嬌があり、医療と真剣に向き合う姿はフレッシュな魅力に溢れる。上下関係や体育会系の熱いノリを嫌い、まさに“サトリ世代”らしいスタンスを崩さない田中。しかし、第4話では松本の熱さに胸を打たれ、涙ぐむ瞬間もあった。

 一方で、松本は僧侶でありながら冷静さを欠いてしまうことが多いという欠点がある。その「感情的な」松本の態度は、三宅(中谷美紀)だけでなく今回は澁沢(余貴美子)にまで諭されてしまう。その暑苦しさは、時に周りの医師たちの心の火を灯し、良い影響を及ぼしてもいるが、困った問題を引き起こしてしまう時もある。今回はラストで人を殴ってしまった松本。与えられる罰は大きいだろう。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』
TBS系にて、毎週(金)22:00~22:54放送
出演:伊藤英明、ムロツヨシ、松本穂香、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、唐田えりか、谷恭輔、うらじぬの、土路生優里、吉田日向、土村芳、安井順平、時朗、横田真悠、堀内健、宮崎美子、余貴美子、泉谷しげる、萩原聖人、中谷美紀
第1話ゲスト:hitomi、永山竜弥、丸山ゴンザレス、飯窪春菜
原作:こやす珠世『病室で念仏を唱えないでください』(小学館『ビッグコミック』連載中)
脚本:吉澤智子
演出:平野俊一、岡本伸吾、泉正英、
プロデューサー:峠田浩
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/nembutsu_tbs/

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