福山潤が明かす、『HUMAN LOST 人間失格』声優陣とのバランス 「信頼感があった」
劇場アニメーション『HUMAN LOST 人間失格』の舞台挨拶が21日、ヒューマントラストシネマ渋谷で開催。貧困エリア“イチロク”の暴走集団のリーダー・竹一役の福山潤、監督の木崎文智、ストーリー原案・脚本の冲方丁が登壇し、竹一の生き様について語り尽くした。
本作は、日本文学の金字塔・太宰治の「人間失格」を、狂気なSF・ダークヒーローアクションに再構築したオリジナルアニメーション。医療革命により死を克服した昭和111年の東京を舞台に、体内のナノマシンをネットワーク管理する究極の社会システム“S.H.E.L.L.”(シェル)体制によって生かされる人々を描く。
原案のイメージに反したキャラクター作りについて木崎は「原案通りにやると、作品のトーンが暗くなりすぎてしまう。エンターテイメントとして盛り上げていくために、主人公の葉蔵とはまったく逆の性質を与えることによって、作品の導入を引っ張ってもらおうという目的があった」とコメント。
一方冲方は「原案だと鼻垂らしてますからね。これやる? って話してましたけど(笑)。でも、デザインが上がってきた時に髪がツンツンしていたんですよね。あとは、『人が死んでんですけど~』っていうセリフでキャラが決まったような感じがする」と述懐。福山も「僕も、あそこが創造の起点になった。大変キャラクターがわかりやすいセリフでしたね」と納得の表情を浮かべた。
だが冲方が「竹一には、一方的に世界観を説明してくれるくらいの力がないとダメだった。だから、ああいうキャラクターになった」と続けると、福山は「今のは収録前に聞かなくてよかった」と苦笑い。「プロデューサーから、はっちゃけてやってくださいよ~みたいに言われたので“やっていいんだな”と思って楽しくやらせていただいた」と、気負わず収録に臨んだことを明かした。
すると木崎から、「そこでアドリブが?」とのツッコミが。福山は「僕の中ではアドリブをやった印象はなかった」と笑い、「台本にあるセリフはしっかりやりながら、おそらくアクションではこうなるとか、ノッてきて“これくらい許される範囲かな?”と思ってちょこっとやったのが、目立つところにあっただけ」と弁明。そんな福山のアドリブについて冲方は「脚本を書いた時の僕の中のイメージとまったく違っていたので、監督が全部書き直したのかと思った」とジョークを交えつつ、「上を行かれた感じがする」と絶賛した。
「うれしいですね」と喜びをかみしめた福山は、「(宮野真守演じる)葉蔵との対比っていう構造は理解できていた。宮野が葉蔵をどう演じるのか。櫻井(孝宏)さんがどういう空気感でいくかっていうのは自分の中で土台があったし、実際に現場で聞いて、これなら自分がはっちゃけても邪魔にならず、ちゃんとその雰囲気に中和してくれるっていう信頼感があった。なのでテストでやってみて、“なんも言われないから、いいのかな?”と思って、いろんなことをやり始めるっていう。僕の悪癖なんですけど」と話して笑わせた。