波瑠が大事にした、也映子の「涙」 『G線上のあなたと私』ラストに向けた願い

波瑠が大事にした『G線上』也映子の「涙」

 今夜、ついに最終回を迎える火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)。大人のバイオリン教室という、日常の片隅を舞台に繰り広げられた温かな会話劇が、ついに幕を閉じてしまうと思うと寂しくて仕方ない。

 うまくなったからといって、何者になるわけでもないのが大人の習いごと。そんな損得計算のない空間と、そこで知り合った仲間が、息苦しい人生を救ってくれることもあるのだと、そっと教えてくれた。このドラマそのものが、家でもない、職場でもない、居心地のいいサードプレイスのような作品だった。

 果たして、バイオリンを通じて出会った年齢も立場もバラバラな也映子(波瑠)、理人(中川大志)、幸恵(松下由樹)の3人が、どのような結末を迎えるのか。今夜のオンエアが待ちきれないあなたへ、主人公・也映子を演じた波瑠のインタビューをお届け! 「新しい挑戦だった」と語った本作への思い、そしてあの名シーンの裏話や共演者との思い出も話も披露してくれた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「也映子は、自分にないものをいっぱい持ってる女性」


――いよいよ最終回ですが、今の心境はいかがですか?

波瑠:原作のマンガを踏まえた上で、ここまでドラマオリジナルな展開を迎えるとは思っていなかったので、正直驚きました。也映子と理人と幸恵さんの関係を、ドラマならではのストーリーとして膨らませられたところとか、眞於先生(桜井ユキ)との関係も掘り下げられたりできたので。会話劇を演じていて、とても面白かったです。

――確かに、会話による印象的なシーンが多く感じました。

波瑠:『G線上のあなたと私』は、何か劇的な事件が起こるような物語ではないです。だからこそ、この作品の精密さを上げていくためにはどうしたらいいだろう? という取り組みが、私の中ではすごく新鮮でした。例えば、刑事ドラマだったら絶対に事件が起こるから、この先どうなるかな? と見てもらえますけど、この作品は「私たち何者にもなりません」と言いながら進んでいく物語なので(笑)。見どころをどう作っていくかが、お芝居のなかに託されているような気がしていました。今まで携わってきた作品とは違うアプローチで、私の中では新しい挑戦でもあり、エネルギー源になっていたと思います。

――その新たな取り組みについて、詳しくお聞きしてもいいですか?

波瑠:セリフとストーリーを覚えるというよりは、自分が演じるキャラクターの願望や欲求など、奥にあるものに目を向けていく……みたいな。言葉にすると、とてもシンプルになってしまいますが、そういうことなのかなと。

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――確かに、セリフがない表情だけのシーンでも、感情が伝わってくるような感覚がありました。

波瑠:今回、台本の中に「……」がすごく多かったです。その「……」が、何も言えないのか、それとも何か言いたくて考えているのか。だとしたら、何を言いたいのか。セリフはこう言っているけれど、この人が本当に言いたかったことはなんだろうって考えながら読み解いていくシーンが多くて、結構頭を使いました。

ーー7話で、理人と也映子が電話した場面でも「あと0.5秒早く答えられてたら」という心の声がありましたが、そしたらどう答えたかったんだろうと思いながら見てました。

波瑠:そうなんですよね。基本的に会話劇なので、そういうシーンが多くて。想像力を使いました。

ーーいち視聴者としては、今回の役どころは、波瑠さんの魅力が存分に発揮されているように見えます。

波瑠:ありがたいことに、「ハマり役だね」とか「のびのびと演じているように見える」と言っていただけることが多くて。最初は意外でしたが、とても嬉しいです。でも、実は也映子と私は全然違うタイプの女性なんですけどね。

――全然違うんですか? すごくナチュラルに演じられているので、似ているところがあるのかなと(笑)。

波瑠:あんなに酔っ払ってキャイキャイしないし、カラオケではしゃいで「女々しくて」も歌わないです! 私は普段、也映子ほど元気な人ではないので(笑)。逆に羨ましいなって思います。人のことを元気にしてあげたり、相手を思って何か言ってあげたり、そういうところはすごいなって。私にないものをいっぱい持っている女性です。でも、一方で、完璧なヒロインにしないようには意識しました。この人が無職なわけがない、この人が婚約破棄されるわけがない、と見ている方に距離を置かれないように。也映子のダメな部分を出しながらも、可愛げがあると思われるように工夫しました。

――酔っ払った勢いで理人に本音を吐き出して号泣したり、幸恵さんに抱かれながら胸が痛いって泣くシーンは、すごくダメなところなんですが、愛しさが増しました。

波瑠:ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。物語の中で、也映子は割とよく泣きますが、私がいいなと思うのは、自分のためだけに泣くわけではないところです。自分が可愛そうだから泣くのではなく、相手のことを思う涙だから印象的だって言ってくださる方もいて。泣くシーンは也映子のいいところが見える場面だと思って、大事にしましたね。ジメッとしないように意識しました。ただ演じている側としては、突然泣くので、大変ではありますが(笑)。

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