『ニッポンノワール』最終回は賛否両論に 『3年A組』から一貫した武藤将吾のメッセージ

『ニッポンノワール』最終回は賛否両論に

 そして、才門が清春に獲得させたかったのは、人間らしさ。名越の銃弾で絶命した才門、ほかにも本城(篠井英介)、喜志(栄信)、宮城(細田善彦)、清春は多くの死を見届けてきた。名越に清春が叫ぶ。「こんなクソみたいな世界でもな。最後の瞬間まで自分を信じて! 貫いて! 死にざまこそが生きざまだった!」。

 「お父さん!」と呼びかける克喜も、人体実験の呪縛を乗り越え、人間らしさを手に入れた人物。その姿に清春も背中を押されていた。

「知らねえことだらけで、知ってると思ってたことでさえ誰かに吹き込まれてんのかもしれねぇ。いつの間にか全部それを受け入れちまってる」
「俺たちは未完成。完璧な人間なんていない。誰でも過ちは犯す。間違いをなかったことにするんじゃない。抗うんだよ、自分の力で! あいつがそれを教えてくれた。今度は俺の番だ。自分次第でこの世界はいくらでも変えられる」

 清春の叫びは名越、その勇姿を見届けている克喜、咲良への言葉であるが、同時に我々視聴者に向けられたメッセージであるように思える。脚本家・武藤将吾による『3年A組』からリンクしたサーガとも言える壮大な物語。巧みな考察劇の末にあったのは、周りに流されることのない自分らしさで世界は変わるという、『3年A組』から一貫したメッセージだった。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:賀来賢人、広末涼子、井浦新、夏帆、工藤阿須加、佐久間由衣、立花恵理、田野井健、栄信、細田善彦、篠井英介、北村一輝
脚本:武藤将吾
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:福井雄太 、柳内久仁子(AX-ON)
演出:猪股隆一
制作協力 : AX-ON
製作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/NNY/
公式Twitter:@NNY_ntv

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