『スカーレット』戸田恵梨香がイッセー尾形から受け継いだ挑戦し続ける気持ち 輝く深野組の3年間
『スカーレット』(NHK総合)第9週「火まつりの誓い」では、それぞれの“新しい挑戦”のため、深野組が解散となる。
“フカ先生”こと深野(イッセー尾形)は、信楽を去り、長崎でまだ若い30代、絵付けの研究をしている森田隼人の弟子になる。引退の考えは全くなく、陶芸家としてまだまだ先を見据えている姿に喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)は感銘を受ける。
背景には、時代の流れとともに火鉢の需要が減り、丸熊陶業も主力商品を火鉢から植木鉢へ移すという厳しい事情があった。「フカ先生が大好き」と自分の生き方を貫く深野に尊敬、信頼を寄せる喜美子と、「絵付けをやっている人に悪いひとはいない」「絵を描きはる人は優しい」と絵描きに強い愛情を抱く八郎。作業場に一人になった喜美子が、物思いに耽り、涙を流すシーンは、深野の9番弟子“キュウちゃん”として、これまでの3年間を振り返っている様子が見て取れる。
深野組の4人は「あかまつ」に集い、それぞれの今後について話す。“一番さん”こと富三郎(夙川アトム)は京都で絵付けの教室を開き、“二番さん”こと忠彦(三谷昌登)は大阪の専門学校で陶芸家の先生になる。深野の「これからはそれぞれがそれぞれの道で、絵付けの仕事をやっていくんじゃ」というセリフがビシッと決まる中、富三郎が深野組の解散を確かめると、深野は「うーん……ええよぉ」と、やっぱりいつもの調子。「ほな、酔うてつまみと間違うておしぼり食べ始めたら止めてな」という念を押す深野に、喜美子の笑顔でエンドカードが流れるのも、その後に宴が続いていく想像を掻き立たせる。
そして、喜美子も新しい挑戦を心に決める。それは、丸熊陶業に一人前の信楽初の女性絵付け師として扱ってもらうことだった。「女だし、学もない」ーー昭和34年はまだまだ女性への差別が色濃く残る時代。喜美子の家計が苦しいことを知る加山(田中章)が平気で放つ「養ってくれる人を探した方が早いのでは?」という辛辣な一言が物語っている。