『グランメゾン東京』木村拓哉の“らしさ”全開 同世代とともに夢を追う「キムタク」の姿
こうした状況で10年ぶりに「キムタク」の封印を解いたかのような今作だが、その結果は水を得た魚のような姿である。しかし、これは本人の意向というよりも客観的なプロデュースの賜物だろう。なぜなら、木村自身はここ数年、自身のイメージを覆す役柄に挑戦して成功しつつあるからだ。こうした「キムタク」のカムバックを可能にしているのは鈴木をはじめ、ギャルソン・京野を演じる沢村一樹ら共演陣であり、全体の勢いを生み出したり、一歩引いたポジションから「キムタク」の収まるスペースを作り出しているように見える。
これには、従来のファンがそれ相応に年齢を重ねる中で共演者の年齢層をスライドするという配慮もある。ファンが望んでいるのは若い共演者に囲まれて無理をする木村ではなく、同世代とともに夢を追う「キムタク」であることがあらためて示された格好だ。
喜びや悲しみ、孤独や絶望、達成した瞬間の感動。料理が生み出す重層的な味わいをさらに深くするのは仲間との絆だ。蛇足だが、尾花たちの作った鹿肉のロティとコンソメを口にした瞬間の平古(玉森裕太)と松井(吉谷彩子)のシーンは、それぞれ表情と声だけで美味しさを伝える最上のカットだった。美味しいものは人の心を変えるのだ。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/twitter
■放送情報
日曜劇場『グランメゾン東京』
TBS系にて、10月20日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54
出演:木村拓哉、鈴木京香、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、尾上菊之助、及川光博、 沢村一樹
脚本:黒岩勉
プロデュース:伊與田英徳、東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/grandmaisontokyo/