池松壮亮×蒼井優×新井英樹『宮本から君へ』鼎談 二十数年越しに「救われた」と語る、決闘後の裏側

『宮本から君へ』鼎談

池松「僕の20代の最後の武器」


ーーこの映画通して、宮本という存在を改めてどういう風に感じていますか。

池松:僕の20代の最後の武器みたいなものです。宮本だったら自分が感じたように誰かの突破口になってくれる。自分がなれなかったヒーローですね。

新井:映画を見た時に初めて気がついたのが、成長する話ではなかったんだということでした。自意識過剰な化け物みたいな男が、色んなことがあって傷ついて成長していく話かなと思ったら、もう喧嘩を頂点に自意識を爆発させていて。

 宮本と靖子の間で起こった事件を自分ごととして考えた、自分なら何ができるか考えると、宮本の行動は意味はないかもしれないけど、少なくとも「こんなことやるやつっているか?」って、徹底して嫌わなくてもいいぐらいの愛し方はできるんじゃないかと思うんです。俺、漫画以上に主人公の宮本の言ってるセリフが恥ずかしかった(笑)。

池松:それは真利子(哲也監督)さんに言ってください(笑)。

蒼井:宮本……難しいですね。私からしたら、めちゃくちゃいい男なわけですよ。

新井:私のタイプ(笑)。

蒼井:そうそうそう。だから絶対に一定数は、めちゃくちゃキュンキュンすると思います。

新井:トラック野郎にとっての八代亜紀みたいな。

蒼井:ははは。胸キュン映画だよって(笑)。

ーーご自身の中には宮本っぽい部分とかはないですか?

池松:ないからこそ、平成の最後に作られて令和に公開になるんじゃないかなと思います。今、この生き方をできる人はなかなかいないと思って。

新井:宮本はエネルギーはめちゃくちゃあるのに捧げる方向を多分間違えていて。でも、方向間違いぐらい許してあげればいいじゃんっていうところはあるんでしょうね。

蒼井:宮本のエネルギーが自分自身に向いているから、見ていて不快じゃないんです。人に認められるためにやってるエネルギーの使い方をしてたら、多分、見ている人は気持ち悪いってなるかもしれないけど、宮本はそうじゃないですからね。

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(取材・文=大和田茉椰/写真=伊藤惇)

■公開情報
『宮本から君へ』
全国公開中
原作:新井英樹 『宮本から君へ』百万年書房/太田出版刊
監督:真利子哲也
脚本:真利子哲也、港岳彦
出演:池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、星田英利、古舘寛治、ピエール瀧、佐藤二朗、松山ケンイチ
主題歌:宮本浩次「Do you remember?」(ユニバーサルシグマ)/レコーディングメンバー Vocal:宮本浩次、Guitar:横山健、Bass:Jun
Gray、Drums:Jah-Rah
配給:スターサンズ、KADOKAWA
(c)2019「宮本から君へ」製作委員会
公式サイト:https://miyamotomovie.jp/

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