ヌリ・ビルゲ・ジェイラン『読まれなかった小説』予告編 息子が書いた小説に込められた想いとは

 11月29日に公開される映画『読まれなかった小説』より、予告編とビジュアルが公開された。

 

『雪の轍』で第67回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の最新作となる本作は、父と息子の軋轢と邂逅を描いた人間ドラマ。シナンの夢は作家になること。大学を卒業し、トロイ遺跡近くの故郷へ戻り、処女小説を出版しようと奔走するが、誰にも相手にされない。シナンの父イドリスは引退間際の教師。競馬好きな父とシナンは相容れない。気が進まぬままに教員試験を受けるシナン。父子の気持ちは交わらぬように見えた。しかし、2人を繋いだのは意外にも誰も読まなかったシナンの書いた小説だった。

 知人父子の物語に魅了された監督が自身の人生も反映させて完成させ、繰り返されるバッハの旋律、作家志望のシナンが訪れる書店に飾られたフランツ・カフカやヴァージニア・ウルフの肖像、チェーホフ、ドストエフスキー、ニーチェら世界中の偉大な作家たちを感じさせる語り口から物語が描かれる。

 公開されたポスタービジュアルでは、父と息子が肩を並べて語らう姿が切り取られており、「すべての気持ちを原稿にしたためた」というコピーが綴られている。 

『読まれなかった小説』予告編

 予告編は、作家を夢見る息子シナンが重い足取りで地元に帰郷するシーンから始まり、競馬好きな教師の父・イドリスを嫌う様子が描かれ、シナンが小説を出版するために地元で奔走する姿、ようやく出版へとこぎつけた小説『野生の梨の木』も確認できる。

 また、詩人・作家の池澤夏樹からコメントも寄せられた。

池澤夏樹(詩人・作家)コメント

作家を目指す青年と、人生の失敗者とされる父。
この古典的な構図の中を痛々しくて美しいエピソードがいくつも流れゆく。
そして最後、黒い犬に導かれるように、カタルシスが訪れる。

■公開情報
『読まれなかった小説』
11月29日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督・編集:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
撮影監督:ギョクハン・ティリヤキ
脚本:アキン・アクス、エブル・ジェイラン、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
音楽:ミルザ・タヒロヴィッチ
挿入曲:J.S.バッハ「パッサカリア ハ短調BWV582」(編曲:レオポルド・ストコフスキー)
出演:アイドゥン・ドウ・デミルコル、ムラト・ジェムジル、ベンヌ・ユルドゥルムラー、ハザール・エルグクルほか
配給:ビターズ・エンド
2018/トルコ=フランス=ドイツ=ブルガリア=マケドニア=ボスニア=スウェーデン=カタール/189分/英題:The Wild Pear Tree/原題:Ahlat Agaci
(c)2018 Zeyno Film, Memento Films Production, RFF International, 2006 Production, Detail Film,Sisters and Brother Mitevski, FilmiVast, Chimney, NBC Film

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