『なつぞら』福地桃子、山田裕貴、吉沢亮の“親”としての新たな一面 成長を見る朝ドラの醍醐味

『なつぞら』キャストたちの“親”としての成長

 『なつぞら』(NHK総合)第22週「なつよ、優しいわが子よ」は、物語の中の過ぎていく月日を感じさせる週である。それは、なつ(広瀬すず)の娘・優(増田光桜)の成長もそうだが、週のラスト第132話で久しぶりに登場する夕見子(福地桃子)、雪次郎(山田裕貴)、天陽(吉沢亮)の姿からも明らかだ。

 優にとって夕見子は、北海道に住む親戚のおばさん。なつの家を訪れる夕見子との会話から、雪次郎との間に生まれた男の子が雪見(嶺岸煌桜)と名付けられたことが明かされる。泰樹(草刈正雄)やなつの夢を乗せたたんぽぽ牛乳を東京で流通させることができれば、夕見子の農協としての仕事は終わり。旅行ブームの影響ですっかり雪月は忙しくなっているため、夕見子もようやくそちらにシフトしていく考えのようだ。

 夕見子の口から「忙しすぎて風邪こじらせて入院している」と告げられ明らかになる天陽の現状。雪次郎は雪見の手を引き、天陽の見舞いに訪れる。天陽は、帯広の画廊とも契約する売れっ子の画家になっていた。入院しても毎日絵を描き続ける天陽。それは、昨年馬が亡くなり、冷害が続いたせいで、好きな絵を描くために農業をしていたつもりが今は絵を売らなければ農業がままならないほどの状態になってしまったせいだ。それでも離農する選択をしない天陽を雪次郎は賞賛する。「俺は俺でいたいだけだ。どんなことがあっても」とつぶやく天陽の志は、学生の頃から一貫して変わらない。

 外見や立場が少しずつ変わっていっても、その人物の根本はぶれずに演じられていく。そんなことに気づかされるのも、長期間で放送される朝ドラの魅力の一つだ。なつはもちろん、幼少期から共に物語を担ってきた夕見子、天陽、雪次郎の“親”としての成長を見ると感慨深い思いを抱かずにはいられない。

 第132話は、優が空に馬の形をした雲を見つけるシーンからも、天陽の今後を示唆した描写が多く存在する。5歳になった優が、北海道に行ったのは2歳の頃。会話の中に出てくる天陽という名前を知らなかったことから、山田家には訪れなかったのだろうか。6月1日、なつは優に自身の誕生日である8月15日辺りに夏休みを取り、北海道に行くことを約束するのだ。印象的なのは、「夏休みになったらきっと会えるよ」というなつと優の会話にインサートされる「あぁ、なつよ。どうか夏がまだ終わらないうちに……」というナレーション。

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