『ロケットマン』は観客に体験させる映画!? “フィクション”と“映画”ならではの面白さ

『ロケットマン』は観客に体験させる映画!?

 こうしたファンタジー映画的な画を見せながら、要所ではエルトンの苦悩や孤独を非常に地に足の着いた形で見せてくれる。母に「遺伝だから20代でハゲると思う」と言われて、「え?」と驚いたり、怖いプロデューサーに叱責されつつ、それでもデビューのチャンスを逃すまいと我慢したり。こうした姿を見ているうちに、世界で最も売れているスーパースターなのに、見ているうちにドンドン身近に思えてくるし、まるで我がことのように思えてくる。そして観客を感情移入させた状態で、前述した夢のような画を放り込んでくるのだ。文字通り夢中になって当然だろう。

 本作の結末は、誰もが知っている通りの部分に落ち着くが、そこに至るまでの過程には様々な工夫が凝らしてある。エルトン・ジョンを知らなくても、まったく問題ないだろう。夢・友情・愛情・失恋・孤独・欲望・衝突・挫折……誰もが多少は経験したことのあることを、名曲と共に体感させてくれる。普遍的かつ唯一無二な1本だ。やっぱね、友達は大事ですよ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『ロケットマン』
全国公開中
出演:タロン・エジャトン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:リー・ホール
製作:マシュー・ヴォーン、エルトン・ジョン
配給:東和ピクチャーズ
(c)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
公式サイト:https://rocketman.jp/
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