渡辺麻友、『なつぞら』は新たな代表作に “無邪気でマイペース”になつを支える

渡辺麻友、『なつぞら』は新たな代表作に

 なつにとって、茜は東洋動画での同志と呼べる存在。もちろん、坂場もなつの同志に当たるわけだが、演出を担当した『神をつかんだ少年クリフ』が不入りに終わり、坂場が業界を退いた後、なつの側にいるのは茜になる。仕事への向き合い方は変わっているものの、おっとりとしたマイペースの性格はそのまま。『なつぞら』には、なつと坂場を始め、今週結婚を決めた咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)など、多くのカップルが生まれているが、茜と下山(川島朗)が結ばれるという展開を予想できた視聴者はなかなかいなかったのではないだろうか。

 東洋動画におけるアイドル的存在でもある茜には、神地(染谷将太)と堀内(田村健太郎)の2人からのアプローチが飛んでいた。特に神地には、ツンデレな態度を取る茜がフィーチャーされており、この2人が結ばれるのでは? と、思わせておきながらの下山というのも、少し変わった茜らしい選択。電撃結婚の報告を受けた神地が、茜のメガネと髪留めを外してダンスを踊ったのは、彼女の素の表情を見抜いていたからとも思える。

 茜を演じる渡辺麻友は、先日自身の公式ファンクラブ「ダブミー」を9月末を持って休止することを発表した。ファンが求める「まゆゆ」と今の「渡辺麻友」との間に大きな隔たりがあるのではないかと悩む日々が続き、今後は女優業に専念すると見られている。AKB48として王道のアイドル像を確立した渡辺だが、素は無邪気でマイペース。グループ卒業後は、主演を務めたミュージカル『アメリ』のほか、『シティ・オブ・エンジェルズ』と舞台を中心に活躍している。

 AKB48時代から完璧主義と言われていた渡辺にとって、茜はぴったりの役柄。キャラクター性もそうだが、「私にとって、アニメーター役を演じることは、子供の頃に憧れた夢が叶ったかのようです」(『連続テレビ小説 なつぞら Part2』(NHKドラマ・ガイド)より)と語る渡辺に、『なつぞら』への出演が大きなターニングポイントになっていると思えてならない。今後は、広瀬すずと共に母としての姿を演じていくこととなる渡辺。茜は「渡辺麻友」にとっての新たな代表作として多くの視聴者に刻まれていくだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮、清原翔/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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