唐田えりか、『凪のお暇』で頭角を現す 物語に“清涼感”をもたらす第2のヒロインに

唐田えりかが『凪のお暇』で頭角を現す

 そんな唐田だが、ここ1、2年でメキメキと頭角を現しはじめた女優だということはどれくらいの方がご存知だろうか。唐田えりかという女優自体の存在の大きさに気づいている方にとっては、やはり昨年公開された『寝ても覚めても』で演じたヒロイン・朝子の姿が記憶に新しいはずである。それまでにもいくつかの出演作はあったものの、映画での大役を務めたのは本作が初であり、柴崎友香による小説を原作に、世界からその才能を注目されている濱口竜介監督の商業デビュー作として、東出昌大とともに最高のコラボレーションを果たした。同作は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、その後、世界各国で配給。唐田自身も堂々たる世界デビューとなり、国内ではいくつかの女優賞を受賞。これからの女優人生の初期のキャリアとして華々しい結果を残したのだ。二人の男性に翻弄されながらも自らの意志に従って突き進むというヒロイン像に、打ちのめされた方も多いことだろう。本作でもまた、唐田の瑞々しい演技があってこそ花開く瞬間が数多くあったのだ。彼女だからこそ立ち上げることのできた、ヒロイン像であっただろう。

(c)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

 かと思えば、直後に公開された『覚悟はいいかそこの女子。』では、少女マンガが原作の高校生ヒロイン役でも健闘。彼女はまだ21歳とあって、さまざまなヒロインポジションで重宝される貴重な時期なのである。山戸結希が監督・企画・プロデュースを務めた『21世紀の女の子』内の一編『離ればなれの花々へ』でもヒロインの一人を担い、同作に監督が込めた想いを、妙妙たる言葉と身体とで体現した。彼女の立ち位置は同作において“顔”とも言えるものであり、その振る舞いは、作品に名を連ねた“女の子”たちの輝かしい未来を予見させるものに感じられたのだ。

 ドラマでは、山崎賢人、門脇麦、新田真剣佑、新木優子といった期待の若手俳優陣が一堂に会した『トドメの接吻』(2018/日本テレビ系)に顔を見せ、今年は『デジタル・タトゥー』(NHK総合)で主要な役どころを演じ、飛躍的な活躍ぶりを見せているところだ。映画にドラマに、唐田の存在が欠かせなくなる日も遠くはないだろう。

 さて、今後の展開が非常に気になる『凪のお暇』だが、唐田が演じる市川はどんな動きを見せていくのだろうか。今作が、成長期にある唐田えりかという女優にとって、大きな意味を持つ作品となりそうだ。

『凪のお暇』第6話より

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『凪のお暇』
TBS系にて毎週(金)22:00~22:54放送
出演:黒木華、高橋一生、中村倫也、市川実日子、吉田羊、片平なぎさ、三田佳子、瀧内公美、大塚千弘、藤本泉、水谷果穂、唐田えりか、白鳥玉季、中田クルミ、谷恭輔、田本清嵐、ファーストサマーウイカ
原作:コナリミサト『凪のお暇』(秋田書店『Eleganceイブ』連載)
脚本:大島里美
演出:坪井敏雄、山本剛義、土井裕泰
プロデューサー:中井芳彦
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/NAGI_NO_OITOMA/

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