『ノーサイド・ゲーム』大泉洋が語る、ビジョンを持って行動する重要性 ラグビーへの情熱は“愛”?

『ノーサイド・ゲーム』ビジョンを持って行動する重要性

 これまでにTBS日曜劇場で放送された池井戸潤原作ドラマには『ルーズヴェルト・ゲーム』や『陸王』などスポーツを題材にした作品があった。それらの作品で、スポーツは、存続の危機にある会社と重ね合わせて、また会社の命運を賭けた象徴的な存在として扱われてきた。『ノーサイド・ゲーム』でのラグビーは、君嶋にとって自身を変えた存在であり、また君嶋の存在がアストロズを変えていく構図になっている。

 過去作以上に、登場キャラクターのスポーツに対するコミットメントが大きいのが今作であり、その構図の中で、あらためて会社と企業スポーツの関係が問い直されることになる。眞栄田郷敦演じる七尾圭太の「ラガーマンではなく、サラリーマンになるつもり」というセリフは、サラリーマンとしてラグビーチームを再建しようとする君嶋と対照的であり、はからずも今作の根底に流れるテーマを浮き彫りにしていた。

 別の言葉で言うなら、スポーツと仕事が対等な関係で切り結んでいるのが『ノーサイド・ゲーム』というドラマであり、登場キャラクターにどれだけ説得力を持たせられるかがポイントになる。その点で、ラグビー経験のある俳優や元選手のキャスティングには理由があり、実際、「グラウンドだけが君たちの戦場じゃない」という君嶋の言葉で本気になった選手たちが発する眼光と熱量には、画面を超えて圧倒されそうになった。

 第1話の最後にサプライズ発表された主題歌「馬と鹿」。米津玄師による同曲では〈これが愛じゃなければ/何と呼ぶのか僕は知らなかった〉と歌われる。ラグビーに賭ける君嶋の情熱は、本人が気づかないところで“愛”と呼べるものに変わっているのではないだろうか。社会人ラグビーを舞台に、あらん限りの情熱で人生を愛することを叫ぶ『ノーサイド・ゲーム』。ついにリーグ戦に突入したアストロズと君嶋たちから目が離せない。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』
TBS系にて、7月7日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:大泉洋、松たか子、高橋光臣、笹本玲奈、天野義久、廣瀬俊朗、齊藤祐也、林家たま平、コージ(ブリリアン)、佳久創、村田琳、笠原ゴーフォワード、大谷亮平、中村芝翫、上川隆也
原作:池井戸潤『ノーサイド』
脚本:丑尾健太郎ほか
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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