常盤貴子が語る、19年ぶり日曜劇場主演『グッドワイフ』で得たもの 「ドラマの世界にまた興味が」

常盤貴子が振り返る『グッドワイフ』

 2019年1月から3月にかけてTBS系で放送された連続ドラマ『グッドワイフ』のBlu-ray&DVD-BOXが7月26日に発売された。アメリカの人気ドラマを日本でリメイクした本作は、専業主婦だった蓮見杏子が、夫の逮捕をきっかけに子供2人との生活を守るため、16年ぶりに弁護士として復帰するというストーリー。夫の壮一郎は検察庁の特捜部長だが汚職を疑われ、新聞記者との女性スキャンダルも判明する。杏子はその騒動によって世間から好奇の目で見られる中、司法修習生時代の同期であった多田を頼って、彼が共同代表を務める神山多田法律事務所に入り、さまざまな案件を担当していく。

 今回リアルサウンド映画部では、杏子という役柄さながらに19年ぶりに日曜劇場で主演した常盤貴子にインタビュー。「クランクアップの瞬間、またやりたいと思った」という充実したドラマ出演について、じっくりと語ってもらった。

「傍聴の経験があってよかった」

ーー常盤さんは『グッドワイフ』の前から裁判の傍聴に通っていらしたそうですね。

常盤貴子(以下、常盤):そうです。7年前、『松本清張没後20年特別企画 疑惑』(フジテレビ系)で弁護士を演じたとき、「一度、勉強のために」と思い、裁判の傍聴に行ってみました。すると、実際の裁判はドラマや映画で見てきたものとは全然、違ったんです。すべてのことが想像を超えていくというか、傍聴席の柵の向こうにいる検察官、裁判官、弁護士のみなさんが普段、私の周りにいないタイプの方々で、非常に興味深くて……。人間観察の面でも勉強になります。裁判の内容も、想像すらしないような事件が起きていて、「こういう場合、どんな判決が下るんだろう」と思いながら見守るうちに解決され、「なるほどー」と納得しますね。一日にいくつもの裁判を傍聴し、合間にお昼ご飯を裁判所の食堂で食べるぐらいハマってしまいました。

ーードラマの中では傍聴席に金髪の男性が座っていましたが……。

常盤:傍聴マニアの阿曽山大噴火さんです。第4話と第10話、2回も出てくださったんですよ。あれは本当に“ツボ”ですよね。もし、私が視聴者として見ても、「『グッドワイフ』ニクイね~。阿曽山さん本人、呼んじゃいますか?」と思うはず(笑)。傍聴に行ったときもしょっちゅうお見かけして、いくつもある法廷のひとつに入って阿曽山さんがいると「Yes!」と思っちゃいます。でも、私、本当にひっそりとスッピンで傍聴しているので絶対誰にも気づかれていないハズなのに、阿曽山さんは「気づいていた」とおっしゃっていました。本当かな?

ーーそんな傍聴の経験が、今回の弁護士役に活かされているのでしょうか?

常盤:ドラマでは現実のとおり演じるわけではありませんが、気持ちとしては「私のように傍聴によく行く役者が弁護士役で主演することは滅多にないだろうから、経験が少しでも活かせたらいいな」とは思っていました。例えば、第1話で杏子がニュースキャスターの日下部(武田鉄矢)と討論し、売り言葉に買い言葉になってしまう。あれが現実なら、弁護士としては失格じゃないですか。でも、塚原あゆ子監督と相談し、ドラマでは弁護士復帰したばかりだからということでそこから始め、その後の成長を演じるにはどうしていけばいいかという計算ができました。そういう意味では傍聴の経験があってよかったです。

ーー演技のテクニカルな面で法廷シーンは大変でしたか?

常盤:そうですね。長セリフが多くて、みんな“あっぷあっぷ”していたので、カットの声がかかると、「よかったよ」「スゴイね~」と褒めあっていました。誰かが間違えても責めない。明日はわが身なので(笑)。そういう大変さはあるんですが、とにかく撮影のスケジューリングがスムーズで、「最近の連ドラではこんなに穏やかに過ごせるんですか?」と聞きたかったぐらいです。事務所のセットで2日間撮影すると、1話分は撮れてしまうので、あとはロケに行くという感じで……。スタッフさんたちの段取りが見事でした。私も久しぶりの連ドラ主演で体力的な心配はありましたが、ありがたいことに、なんとかなりました。

ーー杏子は理不尽な状況に立ち向かう人ですよね。始めに夫の検事・壮一郎(唐沢寿明)が収賄と浮気の容疑をかけられ、さらに同僚である多田(小泉孝太郎)や円香(水原希子)にも秘密があり、彼らを信じられなくなります。

常盤:クランクイン前、最初の顔合わせのときに、壮一郎の裏設定を書いた紙が配られたんです。そのとき、私の野生の勘で「これ、見ちゃいけないやつだ!」と感じ、読まずに取っておいたんですが、そこにきっと円香の秘密も書いてあったんだと思います。でも、私は読んでなかったので、視聴者の皆さんと同じ段階を踏みながら、びっくりした。それは今でもよかったなと思っています。知らなかったからこそ、杏子として明らかになっていくことに悲しくなり憤りも感じた。いろんな疑惑について「この人はそう言っているけど、本当かな」と考えているその目線も、リアルな感情として芝居にできたんじゃないかと思います。

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ーー杏子は強い女性でもあります。第6話では、もう離婚しようとまで思っている夫の弁護を買って出て、冤罪を晴らすため記者会見に臨みますね。

常盤:あの場面はひとつの転換点で、それまでは夫のことを遠ざけていたのに、その秘密を知るため、みずから敵の中に入っていきます。究極の選択ですよね。女って怖い。だから、女を怒らせちゃダメなんだって思いました(笑)。杏子が検事の脇坂(吉田鋼太郎)に「本当に女を怒らせたことがないんですね」と言うんですが、そのセリフがいろんな場面で頭の中をかけめぐりました。

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