『なつぞら』中川大志、染谷将太らが表現する東洋動画の新時代 次週は夕見子に波乱の予感
『なつぞら』(NHK総合)第15週「なつよ、ワクワクが止まらない」で、舞台は北海道の十勝から再び東京の新宿に戻る。宿題だった短編映画の企画案に、なつ(広瀬すず)は帰省中にヒントを得た『ヘンゼルとグレーテル』を提出する。
その企画に一番に乗り気になったのは坂場(中川大志)だった。『ヘンゼルとグレーテル』は、困難と戦っていく子供の冒険を描いたグリム童話。なつが自分たち兄妹と重なる物語に惹かれていることを明かすと、坂場は俄然やる気に。原作に社会風刺といったオリジナル性を加え、坂場は「これは君が作るべき作品です。そのために、僕が必ずこの企画を通します」と宣言。なつも知らず知らずの内に坂場の影響を受けながら、『ヘンゼルとグレーテル』の脚本は固まっていく。
2人の距離が縮まったのは、第13週「なつよ、“雪月”が大ピンチ」にて、階段でバランスを崩したなつを坂場が助けたのが始まりだった。『わんぱく牛若丸』で動画につまづいていたなつは、それがきっかけで馬の前足を4本描くというアニメーションにしかできない表現を思いつく。気がつくと恋の話に持っていきがちの桃代(伊原六花)になつは、「話してると知らないうちに自分が崖っぷちに追い詰められてる気がする」と話し、「もしかしてその崖から落ちた時、恋に落ちてたりするのかもよ」と返されていた。第15週では、再び桃代から恋の尋問が始まり、それになつは「何を言い出すか分かんないから怖いけど、きっとこの人がいればいい作品ができるって妙に安心するの」と答える。演出家としての信頼とも捉えられるが、下宿先の風車に来た坂場が「これは君が作るべき作品です」と告げた際のなつの表情を見ると、安心の先にある心情が垣間見えてくる。
『ヘンゼルとグレーテル』の制作で新たになつたちのチームに参加するのが、新人アニメーターの神地(染谷将太)だ。「面白い!」が口癖の遠慮なく意見をぶつけてくる、東洋動画に新風を吹かせる一人。スケッチブックにアイデアをどんどん描き出していき、なつも「すごい! 面白い!」と力を借りていく。研修期間の能力試験をトップの成績で合格した神地は、下山(川島明)に絵コンテを提出し、その才能を実際に認められる。なつと麻子(貫地谷しほり)がやっとの思いで辿り着いた原画に、神地もあっさりと許しが出るほどだ。神地の登場、なつと坂場の制作の一方で、若き才能を前に自信をなくしているのが麻子。『ヘンゼルとグレーテル』の最終的な絵コンテを見て、「面白い。やりたいことが見えてきた」という言葉もあったが、彼女の中で葛藤があるのは確かだ。