上野樹里×時任三郎は“震災”をどう背負っていくのか 『監察医 朝顔』は新しい法医学ドラマに?
そして、『朝顔』ではもう一つ「震災」という大きなテーマが描かれている。朝顔は東日本大震災で母・里子(石田ひかり)を亡くした被災者。第1話のラスト10分弱は、朝顔と平が8年ぶりに岩手県釜石市に帰省する様子が描かれる。直接的な描写はないものの、地区に流れるサイレンを聞き、当時の情景がフラッシュバックする朝顔、彼女の回想にて体育館に広がるブルーシートは、8年前の悲しい出来事を生々しく呼び起こさせる。事件解決後、桑原の「遺された方はつらいですね」という言葉に平が言う「遺した方だってつらい」というセリフや、故郷の駅で朝顔に告げる「お母さん捜してないと、どうしても駄目なんだ」という言葉からは、いまだ3月11日に留まり続けている平の心情が見える。亡き母の“生きた証”を探す日々を通し、父娘が過去をどのように背負っていくのかがこれから描かれていくだろう。
法医学のドラマと言えば、主演の石原さとみが法医解剖医を演じた『アンナチュラル』(TBS系/2018年)が絶大な人気を誇る作品として君臨し、今期クールでも大森南朋が解剖医で主演を務める『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(テレビ朝日系)がスタートする。今後、この2作品と比較されることは避けられないだろう。「震災」というテーマが、法医学ドラマにどのような色を加えていくかが、真の見どころとも言えそうだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00〜放送
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES/ジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃 愛、宮本茉由、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、板尾創路、柄本明ほか
原作:香川まさひと
漫画:木村直巳
監修:佐藤喜宣『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao/