岡田准一の姿はジャッキー・チェンにも重なる!? 『ザ・ファブル』に見るアクションの凄み

岡田准一『ザ・ファブル』のアクションの凄み

 さらに注目すべきは、岡田准一がファイトコレオグラファーとしてもクレジットされていることだ。つまり(全部ではないにせよ)自分でアクションを考えて、自分で演じていたということになる。『散り椿』(2018年)でも主役を演じる一方、自ら殺陣を考えていたというが、演者/監督の両面からアプローチするのはアクションに対する並々ならぬこだわりを感じる。そして、こうした姿勢は確実に将来の財産となるはずだ。いわば2つの面から「アクション」に向き合っているのだから。思えば世界で活躍しているアクションスターは、自分で振り付けもできる人が多い。たとえば古くはブルース・リー、ジャッキー・チェンやサモ・ハンもそうだし、今をときめくドニー・イェンも同様だ。

 もちろん、まだまだ荒削りな部分もあるし、映画本編に物足りないと感じた部分もあった。ただ、これは映画全体が原作の序盤なので仕方がない部分もある。というか、もっと見たいのでシリーズ化してほしい。そうすればアクションシーンも磨かれていくだろうし、原作のエッセンスをより活かせてくるかもしれない。発展途上なところはあれど、岡田准一が持つ可能性を垣間見ることができること、そして次への期待が高まるのは確かだ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『ザ・ファブル』
全国公開中
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、宮川大輔、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市
原作:南勝久『ザ・ファブル』(講談社『ヤングマガジン』連載)
監督:江口カン
脚本:渡辺雄介
配給:松竹
(c)2019「ザ・ファブル」製作委員会
公式サイト:http://the-fable-movie.jp
公式Twitter:@the_fable_movie
公式Instagram:@fable_movie

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