『なつぞら』松嶋菜々子が語る、約20年ぶりの朝ドラ出演への思い 「私の人生を変えた作品」

松嶋菜々子が語る、約20年ぶりの朝ドラ

「自分の人生の軸と朝ドラの波が似ている」

ーー撮影現場の雰囲気はいかがですか?

松嶋:共演者の多くが朝ドラ経験者なので、この現場がどれだけ大変なのかみなさんわかっていらっしゃるんです。なので最初から「仲良くやりましょう」「家族になろうね」というご挨拶で始まりました。そういう想いでこの作品に向かっているので、とても和気あいあいとした雰囲気ですね。先日まですずちゃんは東京編の話を撮っていたので、しばらく北海道組との撮影が空いていたんですが、久しぶりに会った時に「なんだかホッとする、久しぶりに会えて嬉しい」と言ってくれました。私も、「ちゃんとご飯食べてる?」「インフルエンザとかに気をつけてね」と親みたいに接してしまうので、本当に家族のように過ごせているなと思っています。

ーー幼少期のなつを演じる粟野咲莉さんの印象はいかがですか?

松嶋:本当にぴったりですね。咲莉ちゃんもとても大人びていて、気を配れる子というか、中身は何歳なんだろうと思うようなところがありました(笑)。でも上手くできた時にお母さんに抱きつくような可愛らしいところもあって、本当にとても一所懸命です。納得いかないシーンはもう一回やらせてほしいと言ったり、食事のシーンひとつにしても、すごく考えていますね。

ーー大森寿美男さんが脚本を手がける作品には初めての参加です。

松嶋:会話のやり取りが絶妙でテンポがいいというか、朝ドラとしての明るさを加えてくださっているように思います。登場人物の心の動きやストーリーがとても計算されていますし、わかりやすくもあり、明るくもあり、本当にオトナな台本だなと。私と藤木(直人)さんとのシーンで、夕見子(福地桃子/子ども時代:荒川梨杏)に「お母さんはつまんない」と言われた時に、剛男さんが「それはお前のためを思ってつまんないことを言ってるんだ」となり、それに対し私が「あなた、私の話がつまんないと思っていたの?」と返して「マズイ」となるんですが、そのやりとりが別のシーンで引用されたりするんです。どんと笑わせようというわけではなく、芯を捉えた話をしている最中に、軽いやり取りが挟まることで家族の会話らしくなっているんですね。

ーー朝ドラ3回目があるとすればどうでしょう?

松嶋:3回目があるのならば、おばあちゃん役だと思います(笑)。 また20年後なのかわからないですが、もしもお声がけいただけたなら是非出演したいですね。

ーー松嶋さんにとっても朝ドラとは?

松嶋:『ひまわり』のヒロインが決まった時は、願って願って得たのではなく、どちらかというと与えられたものでした。朝ドラを経験したことで女優業をもうちょっとやっていきたい、こんなに下手では問題だからどうにかしないといけないと思いながら今日まで続けてこれたので私の人生を変えた作品です。自分の人生の軸と朝ドラの波が似ているといいますか、独身時代とは違う思いで、母の富士子役を演じられています。子育てを経験をしている中で、この作品に呼んでいただけたことにも運命的なものを感じます。もしも3回目があるとしたら本当に運命だなと思いますし、とても光栄なことですね。

(取材・文=安田周平)

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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