『ストロベリーナイト』なぜ再び? プロデューサーが憧れた「姫川玲子シリーズ」の新しい世界観

『ストロベリーナイト』なぜ再び映像化?

「すごくいい姫川になる」


ーーかつて竹内結子さんが演じた姫川玲子を、今回は二階堂ふみさんが抜擢されましたね。

渡辺:もちろん僕の中には、原作と竹内さんが演じられた姫川玲子のイメージがありました。でも、その2つが完全にイコールではない部分もあるなと思って、この2つのイメージに縛られないように考えていこうと。姫川は優秀な刑事でありながらも、危うい部分と、若い女性のリーダーとしての前向きさ、ポジティブさがあって、両面を持ち合わせてるキャラクターだと思うんです。二面性って誰にもあるけど、すごく人間的だなと思っていて、シーンによって全く違う顔を見せてくれるような方に演じてもらいたいと思ったんです。二階堂さんは色んな映画、ドラマを拝見していますが、江口(洋介)さんと共演された『脳男』だったり、昨年の『この世界の片隅に』(TBS系)の遊女役を観て、幅広い表情ができる方なんだなと感じていました。人間の両面性を説得力を持って演じきれる方だと思ったし、想像のつかない姫川になるんじゃないかなという期待も込めてお願いしました。

ーー渡辺さんが現場で感じている二階堂さんの姫川としての魅力はどうでしょうか。

渡辺:セリフのあるなしに関わらず、表情の説得力がすごくあります。画面越しに見ていて引き込まれるんです。姫川の持っている信念の強さが、本当によく表に現れてきてるなと感じています。すごくいい姫川になると思います。

ーーそして菊田役を演じるのが亀梨和也さんです。

渡辺:菊田の役も当然、前作の西島秀俊さんのイメージがある中で、姫川をただ後ろに一歩下がって支えるだけじゃなくて、菊田という人間から見た姫川を映すことによって、菊田の人柄も分かっていくような、視聴者に近い目線にいるキャラクターにしたいと考えました。ヒーローだけど、やっぱり一歩下がって、客観的な目で冷静にチームを見ている菊田像が、亀梨くんのイメージに重なるところがあったんです。役としてのキャラクターの中身はもちろん、ドラマ全体の中での菊田の役割についても客観視して考えたアイデアをいただくこともあって、一緒に連ドラを作っているなかでもすごく頼りになる方です。

ーー前作では武田鉄矢さん演じたガンテツは、本作では江口洋介さんですね。

渡辺:ガンテツはアウトローで、違法ではないけれどルールのギリギリのところを攻めていく、一筋縄にいかない刑事のイメージでした。もう一方で、圧倒的な、背負ってるものの深さと強さを今回は作っていきたいなと考えていました。そこにいるだけでこの人は何かやってくれるぞという江口さんの圧倒的な存在感が、ガンテツとしての良いスパイスになってくるといいなと思っています。

「真摯に受け止めたい」

ーー今回のドラマでは、「姫川玲子シリーズ」の中の、「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」「インビジブルレイン」「ブルーマーダー」など全作が描かれていくのでしょうか?

渡辺:長編であるその4作の加え、短編の話もいくつか入っていきます。

ーー同じ物語をもう一回展開するというところで、どのように差別化を?

渡辺:連続ドラマなので、台本を作りながら自然と原作と違う部分も生まれていきます。例えば今回、第1話で菊田が姫川班に合流するパートを描いていますが、原作や前作とちょっと違うんです。その辺りから描くことによって、自然とストーリーの中で、菊田がどうやって姫川班との距離を詰めていくのかというために必要なシーンが出て、自然にこれまでとの違いが出てきます。姫川と菊田の関係性はもちろん、今回は姫川がどういう人なのか、彼女がどうして優秀な刑事と言われているのかを、視聴者と同じ目線である菊田の存在を通して映していきたいと考えています。

ーー原作者・誉田哲也さんからは「前作を越えなければいけないんですよ」と返事があったそうですね。

渡辺:舞台だと、みんながもう一度観たいから同じキャストで再演をやることがありますが、今回はそれとはちょっと違います。全く違うキャスト、全く違うスタッフで新たに作っていくので、僕らの意識としては前作の『ストロベリーナイト』と同じものではないんです。もちろんリスペクトして作っていきますが、あえてそれと違うことをやろうともしていません。あくまで、このメンバーで考えていく上で一番面白くできるドラマ作りをしていくだけだと思っています。それが結果として、前作をご覧になっていたファンの方々にも観ていただいて、「こういう『ストロベリーナイト』もありだよね」と思っていただけるかどうか。まず、僕らはそこを目指しています。前作をご覧になってない方は初めてこの『ストロベリーナイト・サーガ』の世界に触れてもらって、原作や前作を観てみようとなれば嬉しいですし。色んな楽しみ方をしていただければと思っております。

ーー第1話、第2話と今後放送が始まっていきますが、反響をどのように受け取っていきますか。

渡辺:難しいですね、真摯に受け止めたいです(笑)。第1話の原作になっている「ストロベリーナイト」はよく組み込まれているお話で、僕もいち読者としてもいち視聴者としてもすごく面白く感じています。「みんな、きっとこういうふうに驚くんじゃないかな」と期待している部分もあるので、その通りになれば、しめしめ、ですね。

(取材・文=大和田茉椰/写真=伊藤惇)

■放送情報
『ストロベリーナイト・サーガ』
フジテレビ系にて4月11日(木)21時〜初回2時間スペシャル
※第2話以降は毎週(木)22時〜放送
出演:二階堂ふみ、亀梨和也、葉山奨之、宍戸開、中林大樹、重岡大毅(ジャニーズWEST)、今野浩喜、菊池桃子(特別出演)、伊武雅刀、山口馬木也、岡田浩暉、江口洋介ほか
原作:誉田哲也「姫川玲子シリーズ」(光文社刊)
脚本:徳永友一、ひかわかよ、関えり香
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:山崎淳子
演出:石川淳一、山内大典
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/strawberrynight/

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