『PRINCE OF LEGEND』評論家対談【後編】 「男の子同士の関係性は全員魅力的」

『PRINCE OF LEGEND』評論家対談【後編】 「男の子同士の関係性は全員魅力的」

 劇場版『PRINCE OF LEGEND』が大ヒット公開中だ。本作は、TVドラマやゲーム、ライブイベントなど、様々なメディアと連動した、LDHが手がけるプロジェクト『PRINCE BATTLE PROJECT』の一環として制作。熱狂を生んだ『HiGH&LOW』シリーズの製作陣が再び集結し、劇場版ではドラマ版のクライマックスパートが描かれる。

 今回、リアルサウンド映画部では、圧倒的なルックスを誇る王子たちが、「伝説の王子」になるべくバトルを繰り広げる『PRINCE OF LEGEND』を掘り下げるために、ドラマ評論家の成馬零一氏と、女性ファンの心理に詳しいライターの西森路代氏による対談を前編と後編にわたってお届け。これまでの「王子様ドラマ・映画」との違いなどについて語った前編に続き、後編では、本作における王子たちそれぞれのキャラクター設定や、ディズニー映画にも通ずる「王子様とお姫様」問題について掘り下げた。(編集部)

果音のことを好きになれない結城先生の“業”

西森路代(以下、西森):片寄涼太さんは、ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』では、『PRINCE OF LEGEND』(以下、『プリレジェ』)の奏様とは真逆の男の子を演じていて。これについては、『日経エンタテインメント!』のインタビューでHIROさんが「ブランド価値を上げるために、キラキラものだけじゃない作品にも挑戦していくべき」と語っています。それは、本人にとってもうれしいことだと思うんですよ。やっぱり奏様は王子様ではあるけど、片寄さんが四六時中、王子様であり続けるのはつらい。人間くさい、自分の衝動を表現するような演技もやりたいと思うでしょうしね。

成馬零一(以下、成馬):あと、TEAM先生の結城先生(町田啓太)が、どうしても果音のことを好きになれない自分にショックを受けてるのが面白かったです。パンフレットに人物相関図があるんですけど、「自己愛」って書いてあるんですよ。

【チーム先生】結城理一(町田啓太)

西森:(笑)すごいですよね、結城先生。「ハンサムな人の自己愛」みたいなものは、描かれることはあるんでしょうけど、この作品は、本人と密接に結びついた作品だし、その自己愛に突っ込むってなかなかないですよね。結城先生は、王子になろうとしている他の人たちがハマる果音(白石聖)の魅力がわからないということは、自分に王子としての資質が欠けているのかなと考えるわけで。それは、結城先生だけじゃなくて、佐野玲於さん演じる綾小路葵も、他の人も似たようなものなんですけど、そのホモ・ソーシャルな構造に自分自身で気づくところが、みんなより年齢を重ねた先生王子の経験のなせる業なのかなとか(笑)。

成馬:この構造を見せちゃうんだという驚きがありましたよね。京極竜(川村壱馬)も果音に「お前蚊帳の外じゃん」って言いますし。女の子をほったらかしで、男性ソーシャルの中で勝手に王子たちが争ってる。だから果音は「妄想押し付けるな」「おまけなんですよね」と言う。

西森:結局、純粋に果音のことが気になってるのが京極竜くらいじゃないかと……。気になるけど、兄と同じ人を好きになってはいけないと思うっていうのは、今までの物語でよく見てきたタイプの人間性ですから。

【チーム生徒会】綾小路 葵(佐野玲於)、ガブリエル笹塚(関口メンディー)

成馬:TEAM生徒会の綾小路は奏に対するライバル意識でしか動いてないですからね。だから最初は、果音の名前も覚えられない。

西森:「奏のことは覚えてるくせに」って果音の言われちゃうっていう。あと、TEAM 3Bのハル(清原翔)は、お兄さんとしての情があるからよく見えましたよね。反則シーンはありましたけど。

成馬:こういう作品で難しいのは、ヒロインを好きになるイケメンを増やせば増やすほど、途中はすごく面白くなるんだけど、物語を収束する時に、誰か一人に決めなきゃいけないという暗黙のルールがあることですよね。イケメンドラマという枠組みで実験的なことをやっていても、最後に誰を選ぶかという段階になると、よくある展開に落ち着いてしまう。『兄に愛されすぎて困ってます』も、最初はすごい楽しくて、イケメンドラマという構図を使えばこんな面白いこともできるのか! と発見もあるけど、最後に誰を選ぶのかという話に収束していくのがもったいなかったなぁと思いました。

西森:伝統的な家族観、みたいなものに向かいますもんね。だだ私的には、奏や京極竜、ハルという、果音に対して男同士の競争以外の気持ち、愛情でも友情でもいいんだけど、感情を抱く人がいないと怖いなとも思うんです。いちおう、この作品が、奏の成長ものだとすると、ホモ・ソーシャルの中での競争からではなく、男の妄想でもないところで、ちゃんと果音という女の子を見られるようになるということが、成長になるので、まあそういう終わらせ方もあるかと。

【チーム3B】嵯峨沢ハル(清原翔)、翔(遠藤史也)、TAICHI(こだまたいち)

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