『大脱出2』は「!?」が連発する謎の映画? シルヴェスター・スタローンの転がる人生を再確認
しかし、刑務所の全貌が明らかになるにつれ、さらに映画の謎度は高まってゆく。21世紀とは思えない謎のエナジー・ビリビリ拷問はさておき、山海塾のような全身白塗りの男たちが現れ「我らはレギオン!」と言い出したとき、もはや何を観ているのか分からなくなった(本当に出てくるんです。信じてください)。さらに不条理な展開が連発するのだが、それでも最後はスタローンが参戦し、銃撃戦と格闘戦を披露。一応は映画をシメてくれるから、やはりスタローンという男のカリスマ性は凄いなと驚かされた。
本作はスタローンのキャリアで言うなら、『レインボー』(1990年にリリースされた映画。スタローンが1970年に主演した真面目な映画を無理やりコメディに再編集している謎の1本)に匹敵する屈指の謎映画である。思い返せばスタローンと言えば成功と迷走を繰り返してきた人物。昨年は『クリード 炎の宿敵』(2018年)という快作をモノにした。そうなると次は迷うターンである。ある意味で今回こうなるのは必然と言うか、必要なことだったのかもしれない。なお、現在スタローンは『ランボー』の新作と『大脱出3』、さらにヒットシリーズ『エクスペンダブルズ』の新作を準備中だ。『大脱出2』は、スタローンという男の転がる人生と、近年でも稀に見る「!?」っぷりを確認できる映画なのは間違いないだろう。
■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。 『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。
■公開情報
『大脱出2』
3月29日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
出演:シルヴェスター・スタローン、デイヴ・バウティスタ、ホァン・シャオミン、
ジェイミー・キング、ジェシー・メトカーフ、タイタス・ウェリヴァー、カーティス・“50セント”・ジャクソン
監督:スティーヴン・C・ミラー
脚本:マイルズ・チャップマン
音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ
編集:ヴァンサン・タベロン、カーステン・カーパネック
撮影:ブランドン・コックス
配給:クロックワークス
協力:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2018年/中国・アメリカ/英語/シネマスコープ/DCP5.1ch/97分/原題:Escape Plan 2: Hades/レイティング:G
(c)2018 GEORGIA FILM FUND 60, LLC
公式サイト:http://klockworx-v.com/escapeplan2/