坂口健太郎が持つブレない信念 『イノセンス 冤罪弁護士』は弱者たちの声を掬い上げるドラマに

坂口健太郎が持つブレない信念 『イノセンス 冤罪弁護士』は弱者たちの声を掬い上げるドラマに

 今回の事件で真実が明らかになるきっかけとなった聴覚特性という要因。これは、低い周波数の音よりも高い周波数の音のほうが聞き取りやすいという人間の耳の性質のことなのだが、この「大きな音にかき消されてないがしろにされてしまう小さな音」というのは、そのまま冤罪事件を背負ってしまったものの苦しみの声にも当てはまるし、今回においては、娘を失いながらもどうすることもできなかった有珠田たち両親の苦悶にも合致する。これまでのストーリーでも描かれてきているように、マスコミによる報道や立場の大きさによって発言力が大きくなる人がいる一方で、その音に隠れてしまう弱者たちの小さな声がそこかしこに存在している。本作に顕著なのは、そうしたものたちの声を注意深く掬い上げようとしていることだ。時折感情を表に出しながらも、被告人のためでも正義のためでもなく、“本当のこと”を追究するために冤罪事件の弁護に挑む拓の一貫した姿勢は、彼らの抱えるあらゆる悲しみや呪いを浄化していく力を持っている。

 今回は、そんな拓の姿勢に追随するように、石和(赤楚衛二)や別府所長(杉本哲太)ら法務弁護担当の面々も積極的に関わりながら、チームプレーの色が強いストーリー展開になった。また、穂香の波乱万丈な人生なども語られるなかで、拓も自殺した被告人の幼馴染として「東央大学殺人事件」の悲しみを背負う人物のひとりであるということが明らかに。改めて、聡子や秋保、湯布院など、同じ過去を共有しながら、皆が違う立場でそれぞれの感情を抱いている彼らが、協力してひとつの事件に挑む姿には胸を打たれる。また、そこにある“救われなかった弱者たちの小さな声”に耳を傾けるのは、おそらく楓(川口春奈)の役目なのだろう。彼女の目線を共有しながら、後半戦も彼らの行く末を見守っていきたい。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇など、とにかく物語と役者に興味津々。大学時代の卒業論文の題材は「疑似家族を描く日本映画について」。
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■公開情報
土曜ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』
日本テレビ系にて、2019年1月19日(土)スタート(初回15分拡大スペシャル)
出演:坂口健太郎、川口春奈、藤木直人、趣里、杉本哲太、市川実日子、志賀廣太郎、小市慢太郎、正名僕蔵、赤楚衛二、草刈正雄
脚本:古家和尚
音楽:UTAMARO Movement
音楽プロデュース:岩代太郎
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝(AXON)
演出:南雲聖一、丸谷俊平
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/innocence/

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