染谷将太、斎藤工、山田孝之……日本の映画界担う俳優たち、映画制作に進出する背景は?

染谷将太ら制作を手がける俳優たち

 同じ“映画人”という括りにされる俳優と監督ではあるが、実際に完成した作品における関わり方、役割というのはまったく異なるものである。しかしながら、過去の様々な作品や経験からインプットしてきたものを、映画というフィールドの上に独自の手法でアウトプットしていくという“表現者”という立場では共通していることは言うまでもない。

『麻雀放浪記2020』(c)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会

 例によって、染谷は無類の映画好きとして知られており、古今東西さまざまな映画から得た知識や表現技法が俳優としての職に活かされており、監督作品にもそれがしっかりと反映されている。そして染谷と同じように、俳優界きってのシネフィルとして知られる斎藤工も昨年『blank13』で監督デビューを果たし、今年の春に公開される白石和彌監督の話題作『麻雀放浪記2020』では企画として携わり自ら主演も務めることで、新たな表現の道を切り拓こうとしいている。

 他にも、国際的な活躍をつづけ短編・中編監督としても活動してきたオダギリジョーが初めて長編に挑む『ある船頭の話』が今秋公開され、山田孝之がプロデュースを務めた『デイアンドナイト』が現在公開されているなど、近年はとくに若手~中堅の俳優たち、とりわけ将来的に日本の映画界を担うことになるレベルの俳優たちが制作者に回るケースが増加しているのは実に興味深い。専業監督から直接受けてきた演出や、過去の映画作品から習得してきたありとあらゆるスキルを自分のものとして還元する能力を持つ彼らの中から、“世界のキタノ”につづくような映画監督が誕生する日もそう遠くはないだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『ブランク』(染谷監督作『シミラー バット ディファレント』『清澄』と併せて上映)
2019年2月16日(土)~22(金)渋谷ユーロスペースにて1週間限定公開決定
出演:山本剛史、染谷将太
監督:染谷将太
脚本:菊地凛子
音楽:渡邊琢磨
2017年/26分/カラー/Stereo/(c)Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

『麻雀放浪記2020』
4月5日(金)全国ロードショー
出演:斎藤工、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、的場浩司、岡崎体育、堀内正美、小松政夫、竹中直人ほか
原案:阿佐田哲也『麻雀放浪記』(文春文庫・刊)
監督:白石和彌
企画:アスミック・エース
制作:シネバザール
配給:東映
(c)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会

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