永野芽郁vs川栄李奈vs今田美桜 『僕やり』以来の共演で『3年A組』は若手女優三つ巴の激戦に
回を重ねるごとに注目度の高まる『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)。新世代スター候補たちの顔が並ぶ中、やはり抜きん出た存在感を放っているのが永野芽郁、川栄李奈、今田美桜の3人だ。いまやこの世代を代表する女優である彼女たちが、物語の序盤から三つ巴の激戦を繰り広げている。
永野芽郁
本作においてヒロインポジションの永野芽郁といえば、連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)でヒロイン・楡野鈴愛を好演していたことも記憶に新しい。そのハマリっぷりから、彼女以外に考えられないキャスティングだという声も多く上がっていた。青空のような溌剌とした笑顔や、ときおり見せる曇った表情、それらすべてを魅力的に演じ、“永野芽郁=楡野鈴愛”というイメージは世間に強く根付いた。よく言えばハマリ役を得たということなのだが、さまざまなキャラクターを演じる女優にとって、それは障壁ともなりかねない。
そんな状況下、『3年A組』で永野が演じる茅野さくらは、『半分、青い。』の鈴愛と少し近い印象。といっても、キャラクターとしてはまったく違う。天真爛漫な鈴愛がいつも皆の中心にいたのと違って、さくらはクラスで目立たない存在だ。ところがさくらは、自身の興味の対象については猪突猛進タイプ。鈴愛役でも、何かに夢中になると盲目的になってしまう姿を演じていたとあって、やはり永野はこの性質を巧みに表現している。しかし、ここで視聴者がしてしまう役の連想は、作品にとってノイズともなるだろう。永野が自身の身体を通して訴える茅野さくらという人物像を、私たちもしかと受け止め、彼女自身の変化とさくらの成長とを見守っていきたいものである。
川栄李奈
宇佐美香帆に扮する川栄李奈は、以前にも以前にも当サイトで記した通り(https://realsound.jp/movie/2019/01/post-307748.html)、出演作の放送が相次いでおり、2019年のスタートを豪快にきった。恋愛モノから社会派ドラマまで柔軟に適応する川栄は、いくつもの顔を器用に演じ分けることができる若手女優として、その知名度も含め、向かうところ敵なしといったところなのではないだろうか。
そんな川栄の器用さは、今作でも随所に見受けられる。クラスのムードメーカー的な存在である彼女は、作品のトーンを左右する重要なポジションを担っていると言えるし、その彼女が自身のうちに抱える闇を発露させたメイン回は、新世代スター候補たちが繰り広げるドラマ展開のハイライトの一つとして申し分のなかった。本格的な女優業はまだ数年足らずなものの、朝ドラに大河ドラマ、さらには単独主演映画『恋のしずく』(2018)など、踏んできた場数の違いが顕著に表れているように思えたのだ。もちろん、彼女の持つパフォーマンス力の高さは、アイドル時代に培ってきたものも大きいだろう。先述したメイン回以降の彼女は、皆が物語の真相へと向かう展開を支えるポジションに徹しているが、その器用さを存分に堪能したい。