深田恭子の授業に込められた学ぶことの意味 『はじこい』15歳の自分からの手紙が心を打つ

『はじこい』深田恭子が伝えた学ぶことの意味

 教壇に立った順子に、不良生徒たちから「こんな勉強して、なんの役に立つの?」「意味ねーし」という言葉が投げつけられる。多くの大人が「そういうもんだ」という場面で、順子は「私も、そう思うよ」とあっさり答える。「自慢じゃないけど、子どものころからめちゃくちゃ勉強してきたけど、就活のときも婚活のときも、なんにも役に立たなかった。なんにも考えないで、言われるまま勉強してきたから、私」と赤裸々に語りだす順子に、生徒たちの目が変わる。勉強アスリートと称された順子は、どこがゴールかもわからないまま、ただやみくもに鍛えていただけだった。

 しかし、迷走を経たからこそ見えてきたものもある。「誰かの夢を手助けしたいとき。知識や知恵や力が足りなかったら? 想像してみて、どんな自分になりたいか」。順子の中で、なりたい自分は、匡平を導くだけの力や知識のある大人だった。自分のことはどうでもよくても、いつか現れた未来の大事な誰かを守るため、「助ける」ことができるだけの力を持つこと。それが匡平の父親に対して力不足を否定できなかった順子が導き出した、ひとつの「勉強する意味」。

 だが、その大事な人が“この人だ”と自覚する術を順子は知らない。初めて誰かのために夢中になれる喜びが、「恋」と呼べるものなのかどうかも。その人の存在そのものを肯定したいと思う気持ちこそが、「愛」というものなのかも……。そんな恋愛の証明問題も、匡平の受験勉強と並行して学んでいくことになるのだろう。

(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
TBS系にて、毎週火曜22:00~
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、安達祐実、石丸謙二郎、鶴見辰吾、生瀬勝久、檀ふみ、高橋洋、皆川猿時
原作:『初めて恋をした日に読む話』持田あき(集英社『クッキー』連載)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/

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