中村勘九郎×綾瀬はるかのピュアな青春模様が眩しい 『いだてん』四三が“マラソン”と出会う

『いだてん』中村勘九郎と綾瀬はるかが眩しい

 金栗四三(中村勘九郎)の少年時代が描かれた前回。1月20日に放送された『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第3話では、上京した四三がマラソンとの運命の出会いを果たす。

 海軍兵学校を受けるも不合格だった四三は、日本スポーツの父・嘉納治五郎(役所広司)のいる東京高等師範学校へ進学することになる。家族の期待を背負って上京した四三だったが、東京での寮生活になかなか馴染めない。夏休みに帰省した際には、幼馴染のスヤ(綾瀬はるか)が見合いをするという話を聞かされ落ち込んでしまう。傷心の四三だったが、東京で三島弥彦(生田斗真)ら天狗倶楽部による運動会を目にする。それが四三とマラソンとのはじめての出会いだった。

 第3話は中村勘九郎の豊かな表情が魅力的な回だった。家族の期待を背負う四三が見せる決意の表情や、熊本とは全く違う東京の姿に困惑する様子、スヤの見合い話を聞き落ち込む姿など、勘九郎が表情豊かに四三の心情を表現することで、純朴な四三のキャラクター像が伝わってくる。

 海軍兵学校への進学が叶わなかった四三だが、一家の大黒柱となった兄・実次(中村獅童)に「東京高等師範学校に進学したい」と口にする。「自分だけ進学させてもらって申し訳ない」という思いを抱え目線を落とす四三だが、実次は四三に期待を寄せ、快く進学を後押しする。前回、父・信彦(田口トモロヲ)が「嘉納先生に四三は抱っこしてもらった」と嘘をついたまま亡くなった。信彦の嘘を隠してきたこと、嘉納先生と交流できていないことに胸のつっかえを感じ、白状する四三の姿からは今後の物語にも影響してくるであろう彼の素直さが伺える。

 家族に手厚く見送られた四三だったが、上京への不安からか表情がこわばっていく。四三の親友・美川(勝地涼)は降り立った東京の地で好奇心旺盛に動き回るが、四三は満員電車の中で財布をスられたこともあり、すっかり元気がなくなってしまう。寄宿舎の舎監である永井道明(杉本哲太)と対峙したときには、美川に規則違反を押し付けられ、上京して早々罰則を受けることになる。

 東京へ来てから散々な目に遭い続ける四三だが、毎朝の日課である冷水浴と“いだてん”通学だけはイキイキとした表情で実践し続ける。奇妙な声をあげながら、冷水を浴び続ける四三の姿は実にコミカルだ。寄宿舎から走り、学校に一番乗りで到着する四三の表情は明るく、心の底から走ることが好きだということが伝わってくる。ただしこの時点では、四三にとって走ることは移動手段でしかないのだが。

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