『ドラゴンボール超 ブロリー』4DX版はド派手演出の連続! 今までにない挑戦を感じる出来に

『ドラゴンボール超 ブロリー』4DX版レポ

 『ドラゴンボール』映画版にまず求められるのは、孫悟空などの人気キャラたちが、それぞれに活躍して豪快なバトルを見せるという「お祭り」としての役割だ。本作は、それを果たしつつ、戦うキャラクターを悟空、ベジータ、ブロリーなど、超パワーを持った少数に絞ることによって、じっくりとバトルが楽しめ、景気の良いエフェクトや演出が続いていくことで、お祭りの雰囲気はこれまで以上に高まる。そういう意味で、座っている観客が振り落とされそうになるほど派手に動くシートは、まさにお祭りの神輿(みこし)に担がれているような気すらしてくる。

 超パワーの格闘がお祭りならば、色とりどりの閃光を放つエネルギー弾や衝撃波は花火のようだ。ブロリーの無尽蔵のパワーから繰り出される、緑色の気の高まりや、おびただしい数の気弾は、いままでの『ドラゴンボール』シリーズのなかでも、最高レベルに景気のいい演出で描かれ、迎え撃つ超特大「かめはめ波」がそれに拮抗する。振動、衝撃、閃光などによって、4DXはその演出を強化する。ここまでド派手なお祭り作品はまたとないため、まさに『ドラゴンボール』と4DXは、それぞれに価値を高め合うベストパートナーといえよう。あまりに高いテンションが持続することで、終了後にはスポーツ後のような心地良い疲労感さえ覚え、思わず仙豆(せんず)が欲しくなってしまった。映画作品を観ることで、こんな感覚を味わうのは初めてである。

 では、本作がただ超絶バトルが繰り返されるだけの内容なのかというと、そういうわけではない。お祭り感が発揮されながら、前半は意外にも悟空、ベジータ、ブロリーそれぞれの生い立ちのドラマがじっくりと描かれ、旧TVシリーズでスピンオフとして作られたサイヤ人たちが絶滅していくドラマをリライトすることで、彼らにまつわるサイヤ人たちの葛藤や冒険をもしっかりと表現されていく。これはいままでの1時間に満たなかった映画シリーズや、前2作にも存在しなかった試みだ。

 そんなドラマや戦いのなかで明らかになっていくのは、サイヤ人それぞれの生き方の違いだ。エリートの誇りを力の源(みなもと)にして戦うベジータ。父親の思い通りに行動を強制され、孤独な生活のなかで愛情を追い求めてきたブロリー。そして、のびのびと自分の気持ちに正直に行動し続ける悟空。そのような彼らの人格の一部をかたちづくったのは、それぞれの親のそれぞれの想いであったことが描かれるのだ。そして、ブロリーのように真っ当な愛情を受けなかったとしても、最終的には本人の自由意志によってこれからの生き方を変えることができる。家族を持つことで新しい価値観に気づいたベジータ、自由意志のかたまりといえる悟空の存在意義が、ここで生きてくる。複数の要素が見事に整理された脚本だ。

 いままでにない新しいヴィジュアルや濃密なドラマ、そして何より贅沢過ぎるド派手演出の連続。本作『ドラゴンボール超 ブロリー』を楽しむなら、やはり劇場での鑑賞を選択したい。そしてどうせ劇場で観るのなら、ベストマッチしているといえる「4DX」で、エクストリームなお祭り感を味わってみてほしい。

■小野寺系(k.onodera)
映画評論家。映画仙人を目指し、作品に合わせ様々な角度から深く映画を語る。やくざ映画上映館にひとり置き去りにされた幼少時代を持つ。Twitter映画批評サイト

■『ドラゴンボール超 ブロリー 』上映劇場 
※劇場情報は、各劇場サイトを確認。
※劇場により、対応している効果が異なる。
※上映劇場は変更となる場合あり。

【ユナイテッド・シネマ】http://www.unitedcinemas.jp/4dx/index.html
【シネマサンシャイン】http://www.cinemasunshine.co.jp/4dx/
【USシネマ】http://cinemax.co.jp/4dx/
【109シネマズ】http://109cinemas.net/4dx/
【コロナシネマワールド】http://www.4dx.korona.co.jp/4dxbu/index.html
【イオンシネマ】http://www.aeoncinema.com/4dx/
【フォーラム那須塩原】https://www.forum-movie.net/nasushiobara/
【アースシネマズ姫路】http://earthcinemas.jp/theaters/4dx

■公開情報
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』
12月14日(金)全国ロードショー
原作・脚本・キャラクターデザイン:鳥山明
監督:長峯達也
作画監督:新谷直大
音楽:住友紀人
美術監督:小倉一男
色彩設計:永井留美子
特殊効果:太田直
CGディレクター:牧野快
製作担当:稲垣哲雄
製作:「2018 ドラゴンボール超」製作委員会
配給:東映
配給協力:20世紀フォックス映画
(c)バードスタジオ/集英社 (c)「2018ドラゴンボール超」製作委員会
公式サイト:http://www.dbmovie-20th.com/

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