『ドラゴンボール超 ブロリー』4DX版はド派手演出の連続! 今までにない挑戦を感じる出来に
さて『ドラゴンボール超』の現在の展開はというと、孫悟空とベジータのサイヤ人コンビが、「破壊神」たちの下で修行を積み、神の領域に踏み込む「スーパーサイヤ人ゴッド」、そしてさらにそれを超える「スーパーサイヤ人ブルー」への変身を遂げ、宇宙の存亡をかけた戦いに身を投じていくという物語が描かれていた。
そして、本作で孫悟空たちの前に立ちはだかるのは、凶悪な宇宙の帝王フリーザによって、かつて滅ぼされたサイヤ人の数少ない生き残り「ブロリー」だ。文明のない辺境の惑星で野生児として育ったブロリーは、父親の虐待によって行動をコントロールされて育った。そしてサイヤ人に恨みを持つ父親の復讐の道具として、孫悟空とベジータの前に立ちはだかる。
ブロリーは、じつは過去の映画版で複数回登場しており、ベジータが一瞬で戦意を喪失するほどの圧倒的な力を持った強敵として描かれた、映画版だけのキャラクターだった。極度に無口だが、悪役のなかで随一の存在感を持ち、とくに海外のファンの間で人気が高いのだという。今回、そんな旧ブロリーのデザインを行っていた鳥山明が、新たにリデザインを施し、悪役ながら感情移入できる奥行きのあるキャラクターに生まれ変わらせている。
そんな新たな設定によって、野生児という特徴が与えられたブロリーの最も大きな注目点は、やはりその強大なパワーと、異常なまでの戦いの潜在能力だ。野生児ブロリーはスーパーサイヤ人になれないばかりか、その概念すら知らない。本来なら、すでに「スーパーサイヤ人」、「スーパーサイヤ人2」、「スーパーサイヤ人3」、そして「スーパーサイヤ人ゴッド」、さらに「スーパーサイヤ人ブルー」に到達し、その度に飛躍的パワーアップを果たしてきた孫悟空やベジータとは、幼稚園児とプロ格闘家のようなもので、敵にはなり得ない差があるはずなのだ。
しかしブロリーは、スーパーサイヤ人にすらなれない状態で、悟空やベジータとの超パワーの戦闘に対応していく。一時は圧倒されても、戦闘のなかで追いつき乗り越えていく。悟空とベジータが長年かけて歩んできた成長を、ものの数分で追い上げていくのである。そしてついに、スーパーサイヤ人ゴッドの力にも追いついてしまうブロリー。かつてフリーザが悟空たちと戦って感じた焦りを、今度は悟空が味わわされるのである。そんな真の天才ブロリーが、もしスーパーサイヤ人になったとしたら一体どうなってしまうのだろうか……。
4DXでは、そんな悟空たちの戦闘による縦横無尽の激突やエネルギー弾の衝撃などが、モーションシートの激しい動きと振動、さらにフラッシュによる閃光やスモークで演出されることはもちろん、変身時は熱風が吹き付け、観客もスーパーサイヤ人になる気分が味わえるのが嬉しい。