ジャッキー・チェンは今もワン&オンリー! 『ポリス・ストーリー REBORN』は大満足の出来

ジャッキー・チェンは今もワン&オンリー!

 本格アクションは引退したんじゃなかったのか? っていうか、敵がバイオロイドってどうなの? SFアクションになっちゃうのはありなの? 『ポリス・ストーリー』的には。映画冒頭の『プライベート・ライアン』かってくらい尺たっぷりの銃撃シーン、もはや「警察対犯罪者」というより「普通に戦争」だと思うんですが。そもそも設定やストーリー展開やキャラ設定などに「ちょっとちょっと」「いくらなんでもそれは」と言いたくなるポイント、多すぎない? 敵のボスのアンドレ(カラン・マルヴェイ)と、その第一の部下のえっれえ強い女(テス・ハウブリック)と、そのまた子分の戦闘員たち、さすがにマーベル感、強すぎない?

 というような揚げ足取りは、ジャッキー・チェンの映画である以上……いや、正確に言うと、ジャッキー・チェンが製作総指揮(もしくは監督)の映画である以上、なんの意味もなさないのだった。なんで。そういうもんだから、ハナから。冒頭に挙げた『ドラゴンロード』は、僕の中でトップクラスのジャッキー監督作だが、何度観ても言い切れる。犬が足で書いたようなストーリーだと。でも大好きだし、自分の人生にとってとても重要な映画であることは、36年間変わらない。

 『ドランクモンキー 酔拳』(1978年)で彼を知った世代。朝1回目の上映から夕方まで映画館に留まって、何度もジャッキーのアクションに酔いしれた世代(当時の映画館は入替制じゃなかったので、そういうことができたのです)。初代タイガーマスク佐山サトルとジャッキーが、最初の格闘ヒーローだった世代。「あんなのダンスだ」とバカにするブルース・リー原理主義者たちに、心底腹が立った世代。

 という僕のような奴にとって、常にそういうものであったのだ、ジャッキー・チェンの映画は。むしろハリウッド成功期の作品の方が、「なんかちゃんとしてない?」「ファン以外も楽しめる仕上がりになってない?」と不満を覚えることが多かったかもしれない。『ベスト・キッド』なんて、あまりにいい映画すぎて、ジャッキーもいい俳優すぎて、「これジャッキーじゃなくてもよくない?」と思ってしまったし。我ながら書いていることがむちゃくちゃだが、いや、でも、しかし。

 とにかくカネと手間が湯水のようにかかっていてほしい。ジャッキーに身体を張ってほしい。「素手で戦う」「銃撃で戦う」「落ちる」「飛ぶ」「カーチェイス」などのアクションシーンのバリエーションのいろいろをまず考えて、あとからそれらをつなぐためにストーリーを考えたみたいな映画であってほしい。物語の前半が中国、後半がシドニーを舞台にしているこの『ポリス・ストーリー REBORN』は、最初の銃撃戦争シーンと、シドニーのオペラハウスの屋根の上でタイマン勝負のシーン、あと最後の……(ネタバレ自粛)……のシーンの3つがまずあって、それをつないだ、と私は想像しました。だからもうバッチリなのだが、違っていたらごめんなさい、と謝ってもおきます。

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