脚本・大石静の物語になぜ感情移入してしまうのか 『大恋愛』胸が締め付けられる急展開

脚本・大石静の物語になぜ感情移入してしまうのか 『大恋愛』胸が締め付けられる急展開

 愛する人間の名前を間違え、風呂に湯を張り始めていたことを忘れ、コンロの火を点けていたことを忘れる……。アルツハイマー病を抱える『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)のヒロイン・北澤尚(戸田恵梨香)。1日、また1日と、まるで砂が零れ落ちるように記憶が失われていく。毎日を生きていく中でその恐怖と隣合わせ。せっかく楽しいひとときを過ごしていても、何かのきっかけでそのことを不意に思い出してしまう。仕事や日常生活での事柄から、愛する人にまつわることまで、アルツハイマー病は容赦なく尚の記憶を蝕んでいくのだ。

 そんな中、尚と関係を持ち始めた間宮真司(ムロツヨシ)は彼女を懸命に支えようとする。名前だけにとどまらず、自分の存在自体もやがては忘れられてしまう可能性も否めないことをどこかで理解しつつも、彼はできる限りの愛を捧げてきた。

「尚ががんでも、エイズでも、アルツハイマーでも、心臓病でも、腎臓病でも、糖尿病でも、中耳炎でも、ものもらいでも、水虫でも。俺は尚と一緒にいたいんだ」

 真司の中では、尚がたとえアルツハイマーで記憶を失っていこうとも、それは真司が尚を愛するのをやめる理由になんてならないのだ。もちろん、侑市(松岡昌宏)の名前で呼ばれたことは少なからずショッキングなことだったし、尚が自分を忘れていくかもしれないことに不安を抱いていないわけではない。実際、侑市のもとへこっそりと尚のことで足を運んだりする。でも、真司は分かっている。真司の抱えるその不安よりも、病の当事者の尚が抱いている不安の方はきっと、何倍も、何十倍も大きなものでありうることを。自分が弱気ではいけないからこそ、なるべく尚の病のことは気にしていないかのように振る舞おうとするのだろう。

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