ムロツヨシは愛を貫くことができるのか 『大恋愛』溢れ出した心の叫び
「彼の存在が一番私に生きる力をくれるんです」
若年性アルツハイマー病の恐怖に怯える尚(戸田恵梨香)は、真司(ムロツヨシ)の存在をそう話した。だが、真司は……。金曜ドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)第4話は、尚を愛するがゆえに膨れ上がる真司の苦悩が描かれた。
真司への恋心から婚約者・侑市(松岡昌宏)と別れた尚。だが、若年性アルツハイマー病の権威である侑市以外に、最善の治療はないと彼のもとに通い続ける。親身になって話を聞き、社会的ピンチになった尚のことも全力で支える侑市。彼のなかには、まだ尚への想いがある。直感的に察した真司は、次第に劣等感を膨らませていく。
真司ができることといったら、尚を笑わせることくらいだ。自分のホクロを押させて変顔を見せたり、“濡れた雑巾のようなニオイが消えた”と口コミサイトに書き込んだり……。古いアパートの水回りをピカピカにしたところで、侑市の住むような高級マンションにははかなわない。血尿が出るほどバイトのシフトを増やしても、尚に贅沢をさせてあげることはできなかった。
そこに追い打ちをかけるように、尚は自分を抱きしめながら「侑市さん」と過去の男の名前を呼ぶ。侑市には勝てない、侑市のようにはできない……そんな気持ちが渦巻いているときだからこそ、真司の中に重く暗く「侑市さん」という尚の声が響いたのだろう。もちろん、病気がそうさせているのも、頭では理解している。そして、尚に悪気はないことはわかっている。だが、愛する人との争いは、いつだって“そんなつもりはなかった”というところから発生するものだ。